この記事は、営業活動の管理を効率化し、業務をスムーズに進めたい方に向けて書いています。特に、営業支援ツール(SFA)の選択に際し、HubSpotとSalesforceのような代表的なツールの間で選ぶ際の迷いや、それぞれの機能、コスト、使い勝手の違いについての疑問を持つ方に役立つ内容です。
多くの企業が直面するこの問題に対処するため、HubSpotとSalesforceの基本情報と、これらのツールがどのように異なるのかを詳しく比較しています。適切な営業支援ツールを選び、導入することによって、より効率的な営業プロセスを実現してください。
なお、HubSpotの料金体系については、以下の記事でも解説しています。
関連記事:【解説動画あり】HubSpotの料金はいくら?価格や費用をプランごとに解説
ちなみにHubSpotの料金については、動画でも解説していますので、よろしければ参考にしてください。
コンテンツ目次
HubSpotとSalesforceの基本情報
HubSpotとSalesforceの違いを説明する前に、まずはHubSpotとSalesforce、それぞれどういった仕組みなのかを解説します。
HubSpot(ハブスポット)とは
HubSpotは、世界中の多くの企業が利用している、マーケティング、セールス、コンテンツ管理、カスタマーサービスを一つに統合するクラウドベースのプラットフォームです。HubSpotでは、顧客体験を向上させるための情報を一括で管理でき、使いやすい一貫したユーザーインターフェースが社内での導入をスムーズにします。
CRMを初めて導入する企業、予算を抑えて始めたい中小企業、さまざまな機能を自由にカスタマイズしたい大企業まで、多様なニーズに応える柔軟性を持っています。
Salesforce(セールスフォース)とは
Salesforceは、アメリカのセールスフォースドットコム社によって開発された、CRM(顧客管理)ツールです。CRMの核を中心に、さまざまな機能を持つプロダクト群を統合したプラットフォームとなっています。HubSpotと競合するような幅広い機能を提供し、利用する企業のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。ただし、製品によって操作方法や連携できる他のツールが異なるため、新しい機能を習得するためには時間が必要かもしれません。
SalesforceのSales Cloudは、レポート作成、取引管理などを含む強力な営業支援機能(SFA)を提供しています。見込み顧客管理や営業プロセスの自動化で、営業効率の大幅な向上を実現できます。
HubSpotとSalesforceの料金の違い
SalesforceとHubSpotは、それぞれがSFAの領域で提供するものでありながら、料金体系において大きな違いがあります。
Salesforce(特にSales Cloud)では、料金はユーザーごとに設定されています。たとえば、Enterpriseプランでは一人当たりの月額が19,800円(税別)であり、10人のユーザーを登録する場合、月額で198,000円が必要です。
一方、HubSpot(Sales Hub)は、組織全体の基本料金が定められており、適切なプラン選びによって総コストを低く抑えられます。たとえば、5名の営業スタッフがProfessionalプランに、残りの5名が無料プランを使用する場合、Professionalプランでの5名分の料金は月額54,000円です。つまり、Salesforceを使用する場合の約4分の1のコストで済みます。
以下のサイトで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
【営業管理:SFA編】SalesforceとHubSpotの料金を徹底比較!向いている企業の特徴も解説
HubSpotとSalesforceのMAツールの違い
HubSpotとSalesforceのMAツールとしての違いには、主に以下が挙げられます。
- インバウンドマーケティング
- 営業との連携
それぞれ詳しく解説します。
インバウンドマーケティング強化に|HubSpot Marketing Hubの特徴
HubSpotは、インバウンドマーケティングに特化しています。主な対象は、興味を示しているまたは今後興味を示す可能性がある「見込み顧客」です。インバウンドマーケティングでは自社の製品やサービスへの関心を深めてもらうことを目的としています。
関心を引き上げるためには、ブログ投稿、無料でダウンロード可能なホワイトペーパーやeBook、紹介動画、SNSを通じた情報発信などが必要です。豊富で質の高いWebコンテンツの提供が重要となってきます。さまざまな手段を駆使し、見込み顧客の興味を引きつけ、関心を高めることが成果につながります。
営業との連携を重視するなら|Salesforce Salesforce Pardotの特徴
Salesforceは、効率的な営業活動を支援するクラウド型CRMアプリケーションです。Salesforceはリード、取引先責任者、取引先、商談の管理を一元化し、営業チームの活動を容易に追跡できます。さらに、レポートやダッシュボードを作成する機能が充実しており、営業成果の分析と可視化をサポートします。
また、Chatterや通知機能を利用すると、チームメンバーは適切なタイミングで行動を起こすことが可能です。
Salesforceの豊富な機能は、営業チームの連携と効率を高める強力なツールとなるでしょう。
HubSpotとSalesforceのCRMツールの違い
HubSpotとSalesforceのCRMツールの違いには、以下の点が挙げられます。
- 無料で使える
- スタートアップ企業におすすめ
それぞれ詳しく解説します。
無料で使える!HubSpot CRMの特徴
HubSpotは、無料プランでも多彩な機能を提供しており、コストを大きく節約できます。利用する機能に応じて柔軟にプランを調整できるため、不必要な支出を避けられるのです。
希望するサービスに最適なツールも組み合わせられます。不要な機能を排除してコストを削減し、結果として企業の利益率を高められるでしょう。
スタートアップ企業におすすめ!Salesforce Essentialsの特徴
スタートアップ企業にとって、Salesforceは顧客情報、売上データなどのビジネスに必要な情報を一箇所で管理できるため、とてもおすすめです。Salesforceでは、売上の分析や予測、さらには報告書作成まで、すべてのデータ管理作業を一元化できます。
異なる部署やプロジェクトごとに別々のツールを使用する必要がなく、Salesforce内で全ての情報を集約できるため、連携がスムーズにおこなえます。そのため、業務の効率化と生産性の向上が実現可能です。スタートアップ企業において、迅速な意思決定と効率的な運営が求められるなか、Salesforceは強力な支援ツールとなるでしょう。
HubSpotとSalesforceは連携できる
HubSpotとSalesforceを一緒に使用する場合、両ツールの連携が可能です。HubSpotではProfessionalまたはEnterpriseプラン、SalesforceではProfessional、Enterprise、またはUnlimitedプランで連携を実現できます。
HubSpotとSalesforceを同期させると、Webページの閲覧、クリックデータ、メール開封などの活動履歴を共有できます。データを双方向で同期させて、営業の効率化が図れるでしょう。
連携によるメリット
HubSpotとSalesforceの連携により、両ツールの機能をフルに活用し、相乗効果を生み出せます。たとえば、マーケティング部門で収集した顧客データをSalesforceへ転送し、営業チームが転送された情報をもとに、顧客への最適なアプローチの実施が可能です。
さらに、メールの送信や開封の履歴をSalesforceで管理できるため、イベントの招待などにも効果的に使用できます。HubSpotとSalesforceの連携により、マーケティングと営業の関係が強化され、企業全体で情報共有や行動の調整がスムーズになるでしょう。
連携は簡単にできる
HubSpotのサポートページには、HubSpotとSalesforceの連携手順が詳しく記載されており、数分で設定が完了します。技術的な知識がない人でも容易に設定を開始できるため、迅速に連携のメリットを実感できるでしょう。
HubSpotとSalesforceを連携する方法
HubSpotとSalesforceを連携する方法について解説します。
必要となる条件から説明していきますので、順番に読み進めていってください。
連携に必要な条件
HubSpotとSalesforceを連携させるには、特定の条件を満たす必要があります。
- HubSpotの製品エディションに契約している
- HubSpotアカウントでアカウントアクセス権限を持っている
連携を開始する前に、上記の要件を確認しておきましょう。
必要なHubSpot製品エディション:
- Marketing Hub: ProfessionalまたはEnterprise
- Sales Hub: ProfessionalまたはEnterprise
- Service Hub: ProfessionalまたはEnterprise
- Operations Hub: ProfessionalまたはEnterprise
- CMS Hub: ProfessionalまたはEnterprise
Salesforceアカウントに必要な権限とライセンス:
- APIアクセスが可能なSalesforceエディション、またはSalesforce Professionalに契約している
- Salesforceシステム管理者であるか、HubSpotとの連携に必要な権限セットが割り当てられている
- 以下のユーザープロファイル管理権限が付与されている:
- APIの使用が可能
- 「セットアップと構成の表示」が有効
- HubSpotに同期するオブジェクト(アカウント、キャンペーン、コンタクト、リード、商談)に対する「すべてを変更する」権限
- Modify Metadata権限
- 「AppExchangeパッケージのダウンロード」権限
- Customize Applicationのプロファイル権限
上記の条件を満たしていれば、HubSpotとSalesforceの連携をスムーズに進められます。
HubSpotとSalesforceを連携する手順
HubSpotとSalesforceの連携は以下のステップで進めます。
- HubSpotにSalesforceアプリをインストールする
- SalesforceにHubSpot Integrationアプリをインストールする
- SalesforceにHubSpot Visualforceモジュールを追加する
- HubSpotとSalesforceのデータ同期のルールを設定する
それぞれ詳しく説明します。
HubSpotにSalesforceアプリをインストールする
- HubSpotアカウントへログイン
- ナビゲーションバーから「アプリマーケットプレイス」を選択
- アプリマーケットプレイス内で「Salesforce」を検索
- 「Salesforce」アプリを見つけたら、ページを開いて「インストール」ボタンをクリック
- 表示される指示に従って、必要な権限を承認し、インストールプロセスを完了
(Salesforceに未ログインの場合は、ここででログインを要求される)
SalesforceにHubSpot Integrationアプリをインストールする
- 「Salesforceパッケージのインストールを開始」ボタンをクリック
- インストールプロセスの指示に沿って、必要な権限を承認してインストール完了
インストールには10分ほどかかることがありますので、完了するまでしばらく待ってください。インストールが完了次第、メールで通知されます。
SalesforceにHubSpot Visualforceモジュールを追加する
以下のプロセスはスキップし、後で設定できます。
- 「SalesforceにHubSpotを追加する」ボタンを選択
- Salesforceで、歯車アイコンをクリックし、「設定」へ進んで設定メニューを開く
- 「オブジェクトマネージャ」を利用して、追加したいオブジェクトのページレイアウト画面にアクセス
- 「ページレイアウト」を選び、ツールバーから「セクション」を選択し、希望する位置にドラッグアンドドロップして配置
- ツールバーの左側から「Visualforceページ」を選び、「HubSpot_Embed__[オブジェクトタイプ]_V2」項目を新しく追加したセクション内へドラッグアンドドロップ
- 変更を保存するために、「保存」ボタンをクリック
HubSpotとSalesforceのデータ同期のルールを設定する
- HubSpotで「Salesforce」アプリページを開く
- 「推奨セットアップ」または「カスタムセットアップ」のいずれかを選択
- 同期するルールを定め、設定をおこなう(例:「常にSalesforceのデータを使用する」「両方向のデータ同期を行う」など)
- 選んだデータ同期の設定内容を一度確認し、「セットアップ完了と同期開始」ボタンを押す
HubSpotとSalesforceの違いを知って自社に最適な方法で導入しよう
この記事では、HubSpotとSalesforceを組み合わせて利用する際に推奨されるシチュエーション、連携のメリット、具体的な連携手順について説明しました。
HubSpotとSalesforceを連携させると、それぞれのツールが持つ強みを最大限に引き出し、営業とマーケティング部門間の協力強化が可能です。
連携の際には、プロパティのマッピング、同期ルール、オブジェクト名の差異など、留意すべきポイントが存在します。しかし、設定を適切におこなえば、企業の成長加速につながるでしょう。
HubSpotとSalesforceの機能性と連携がいかにビジネスに利益をもたらすかを考慮して、自社に合った導入プランを選択してください。