「フライホイールモデルとは?」
「ファネルとの違いや導入するメリットは?」
などの疑問を持つマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。
近年、注目を集めているフライホイールモデルは、従来のマーケティングファネルとは異なる概念です。
今回はそもそもフライホイールモデルとは何かを解説します。さらにマーケティングファネルとの違いと導入するメリットまでお伝えします。
マーケティング初心者の方でもわかりやすいように解説するので、最後までご覧ください。
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コンテンツ目次
フライホイールモデルとは
フライホイールモデルとは、2018年にアメリカのマーケティングソフトウェア会社HubSpot(ハブスポット)社が提唱した概念で、一言でいえば好循環を指します。
フライホイールを、日本語に訳すと「弾み車」です。消費者の行動プロセスや企業による消費者へのマーケティングアプローチが、らせん状に広がることを示したフレームワークの一種です。
悪いことが連鎖する「負のスパイラル」とは対照的に、フライホイールは「正のスパイラル」を生み出します。回転によって蓄えられたエネルギーにより、ビジネスが加速度的に広がるイメージです。
HubSpot(ハブスポット)社では、ホイールの構成要素として、次の3段階を提唱しています。
- 「Attract(惹きつける)」
- 「Engage(信頼関係を築く)」
- 「Delight(満足させる)」
各段階で顧客に適切なアプローチをすると、企業の持続的な成長が見込めるとされています。
従来のビジネスの考え方はTHE MODEL(ファネル)
これまで、多くの担当者が利用してきたマーケティングモデルTHE MODEL。「THE MODELでうまくいった」という成功体験を持つ方もいるかと思います。
THE MODELは、日本語訳で「漏斗」の意味を持つファネルの考え方を利用したビジネスモデルです。消費者の商品に対する認知から購買にいたるプロセスで施策を練ります。THE MODELで事業拡大を図るには、常に新規顧客を獲得する必要があり、広告費などの資本力が不可欠です。
一方、フライホイールモデルは、新規顧客が何度も顧客として循環する仕組みなので、事業拡大や企業の成長を加速度的に進められます。顧客は購入後のフィードバックによる商品改善に貢献するだけでなく、口コミやSNSを通した広報活動を行うことで、周囲の顧客を巻き込み回転の輪を広げます。
フライホイールモデルを導入するメリット
ここからはフライホイールモデルを導入するメリットを解説します。メリットを理解して、自社商品に対するフライホイールモデルの適正を判断しましょう。
フライホイールモデルを導入するメリットは、次の通りです。
- リードをより効率的に活用できる
- 組織体制を戦略的に構築できる
- 既存顧客による評判や口コミを戦略に組み込める
それぞれについて、詳しく解説します。
リードをより効率的に活用できる
フライホイールモデルを導入するメリットは、見込み客をより効率的に活用できる点です。
従来のTHE MODELでは、リードは商品を認知するかしないか、興味を持つか持たないかの二者択一でした。そして、顧客の獲得が自社の成長につながりませんでした。
一方、フライホイールモデルは、顧客同士が影響を与えあい、顧客自身にも購買を促すような循環モデルです。現代は、見ず知らずの人が書いた口コミや友人からの勧めが従来よりも購買の意思決定に大きく影響します。そのため、フライホイールモデルは現代に適しているといえます。
組織体制を戦略的に構築できる
フライホイールモデルは、組織体制を戦略的に構築できる点も魅力です。一般的な組織の場合、営業やマーケティング、カスタマーサービスなどそれぞれが分断された役割を担います。
それでは、営業とマーケティング担当者の意見が相違するなどの問題も出て、顧客へのサービス提供にも支障をきたす可能性があります。一方、フライホイールモデルを採用すると、営業からマーケティング、カスタマーサービスまで、一貫したサポートを提供できます。その結果、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
体制を見直し、顧客の購買行動に柔軟に対応できる組織へと成長することが重要です。
既存顧客による評判や口コミを戦略に組み込める
従来のTHE MODELと異なるのは、既存顧客による評判や口コミを戦略に組み込める点です。
THE MODELを採用した場合、リードで獲得した顧客が再度顧客として戻ってくることは少なかったのです。しかしフライホイールモデルは、顧客満足度を向上させ親密度を高め、顧客との関係性を維持する仕組みです。
そのため、顧客のリピートにつながり、さらに新規顧客を獲得することで、加速度的に企業が成長していくのです。
既存顧客の評判や口コミが可視化される現代に適したマーケティング手法といえます。
フライホイールモデルを導入するまでの流れ
フライホイールモデルを導入するまでの流れは、次の通りです。
- 現状の分析
- 営業体制の最適化
- 問題点の発見
- 問題点の改善
- 蓄積したデータをもとに分析や改善を実施
それぞれについて、詳しく解説します。
1.現状の分析
まずは、現状を把握することから始めましょう。自社の商品にフライホイールモデルが適しているのかを判断するためにも、現状の分析は重要です。
現状、どの段階の課題を抱えているのかなどを把握し、フライホイールモデルを用いると、どのような効果が期待できるのかまで想定しましょう。
その後は、「Attract」「Engage」「Delight」の3つのステージにおける最適な顧客へのアプローチ手段を考えます。たとえば、コンテンツや投資配分などを具体的に決めます。
2.営業体制の最適化
フライホイールモデルの導入は、マーケティング担当だけでは成り立ちません。営業体制の最適化も必要でしょう。
従来の営業担当者は、商品説明が主な業務内容の1つでした。しかし、近年の顧客は商品に関する情報を得た状態で営業担当に接触します。そのため、商品知識や料金体系などのインターネットで得られる情報を営業担当者に求めていません。
営業担当は、顧客との親密度を高め、顧客体験を向上させることが重要な役割といえます。
3.問題点の発見
フライホイールモデルでは、常にPDCAを繰り返す必要があります。問題点を見つけ、改善すると、顧客体験の向上につながり、効率的に顧客を獲得できるでしょう。
問題点を洗い出す際は、外部要因と内部要因に分けて考えることをおすすめします。外部要因を考える場合は、まずはリードや既存顧客の抱える不満を分析。さらに自社商品に対する批評や苦情、本音がどこに寄せられているのかを確認します。
内部要因では、マーケティングや営業、カスタマーサポートなどの内部連携が取れているかなどを確認し、問題のボトルネックを探します。
4.問題点の改善
問題点を洗い出したら、改善する必要があります。アンケートや口コミなどで寄せられたコメントを確認すると、外部要因に関する改善策がわかります。
しかし内部要因に関しては、複数の変数が絡み合っているため、すぐに改善することは難しいでしょう。業務効率化や目標の再設定など、細かなポイントをチェックし、それでも改善が難しい場合は、組織全体の再構築が必要かもしれません。
5.蓄積したデータをもとに分析や改善を実施
マーケティングを行うと、データが蓄積されます。それらのデータをもとにした分析や改善も必要でしょう。蓄積したデータを適切に分析しなければ、間違った結果を導いてしまい、改善につながりません。
蓄積したデータを正しく分析し、改善につなげると、よりよいマーケティングを実施できるでしょう。
フライホイールモデルとインバウンド手法の関係性
フライホイールモデルの基盤は、インバウンド手法です。顧客は、商品を押し付けられるのではなく、自らの関心に従って商品を購入します。そして商品を購入した顧客は、その体験を周囲に共有し、新たな顧客の興味・関心を惹きます。その結果、持続的な商品販売の仕組みが完成するのです。
インバウンド手法の最大の目標は、自社の社員が見込み顧客や既存顧客と親密な関係を築き、信頼されることです。顧客の課題をいち早く察知し、迅速に対応して、顧客満足度を高めることが大事でしょう。
フライホイールモデルを導入する場合は、コミュニケーションを円滑にできるチャネルを用意することが重要です。チャネルを通してコミュニケーションを取ると、顧客の行動を予想し、顧客が必要な情報を提供できます。ブログや有料広告など、マーケティング領域の取り組みも必要不可欠です。
フライホイールモデルとインバウンド手法を上手く活用すると、企業は顧客と共に永続的な成長を果たせ、最終的には顧客が顧客を生むという理想形態を目指せるでしょう。
HubSpotとフライホイールモデルの関係性
HubSpot社は、2018年にフライホイールモデルを提唱しました。それから時間を費やして、同モデルを徐々に変えてきました。現在も、フライホイールモデルの完成に向けて改良を加えています。
他社と競い合う時代は終焉を迎え、企業は顧客満足度を優先して、行動するべきとされています。フライホイールモデルを採用すると、顧客中心のビジネスを展開でき、顧客との摩擦を減らせます。
時間とコストをかけてフライホイールモデルに取り組めれば、既存顧客が自然と新規顧客を呼ぶ仕組みを作れます。
HubSpot社は、自社サービスを実験台にフライホイールモデルの実現を追求していくことでしょう。
フライホイールモデルを導入しよう
今回は、フライホイールモデルとは何か、さらにマーケティングファネルとの違いと、導入するメリットまで解説しました。
フライホイールモデルを導入すると、企業のリード獲得や既存顧客の定着につながります。さらに、既存顧客が新たな顧客を呼び込む好循環を生むでしょう。
しかし、フライホイールモデルを導入するには多くのコストと時間を要します。そのため、導入する際は、自社の組織体制から見直す必要があることを頭にいれておきましょう。
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