
HubSpot「スマートプロパティ」は、AIが自動でデータを補完・整理してくれる新しい機能です。会社名やドメインをもとに、法人番号・業種・所在地・SNSアカウントなどの情報を自動で取得できます。
手動入力の手間を省きつつ、正確で一貫したデータ管理を実現できる点が大きな特徴です。
本記事では、実際にHubSpotスマートプロパティを使って法人番号を自動で取得できるかを検証しました。AIによる補完精度の違いや設定方法、精度を高めるための工夫まで、実際のテスト結果をもとに詳しく紹介します。
スマートプロパティの設定やAIプロンプトの最適化は、実際に触ってみると細かなポイントが多い部分です。自社の環境に合わせた運用方法を知りたい方は、HubSpot相談会を活用してみてください。
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コンテンツ目次
HubSpotのスマートプロパティとは?

HubSpot「スマートプロパティ(Smart Property)」は、AIが自動でデータを補完・整理してくれる機能です。従来は手動で入力していた会社情報を、AIが自動で整備してくれるため、CRMデータの精度向上と入力工数の削減を同時に実現できます。
補完された情報は、ほかのプロパティやワークフローにも自動連携され、営業リストの更新や顧客データの名寄せなどにも活用できます。
スマートプロパティを利用できるプランは、主要なHub(Marketing/Sales/Service/Data/Content)の各プランです。一部のHub(Smart CRM・Commerce Hub)は、Professional以上のプランで提供されています。
なお、AIによるデータ補完には「HubSpot AIクレジット」を消費します。このクレジットは有料プランで毎月一定数が付与されており、その範囲内でスマートプロパティの機能を試すことが可能です。
また、付与分を使い切った場合は、必要に応じて追加購入することもできます。利用頻度が多い場合は、あらかじめクレジット残量や追加購入の設定を確認しておくと安心です。
詳しく知りたい方は、HubSpot公式の動画解説も参考にしてみてください。なお、視聴にはHubSpotアカウントへのログインが必要です。
>>HubSpot – Academy|What are Smart Properties?
スマートプロパティはざっくり言うと「AI内蔵プロパティ」だと思ってください!さっそく法人番号を特定するテストをしてみたので、ぜひご覧ください!
HubSpotのスマートプロパティのユースケース

ここからは、HubSpotのスマートプロパティの具体的なユースケースを見ていきます。
- 会社レコードで法人番号を自動取得
- 名寄せ・データクレンジングを自動化
会社レコードで法人番号を自動取得
HubSpotのスマートプロパティを活用し、会社レコードで法人番号を自動取得できるかをFLUED社で検証しました。今回のテストでは、AIがどのように情報を補完するのかを条件別に比較しています。
テスト内容
今回の検証では、HubSpotのスマートプロパティを使い、会社レコードで法人番号の自動取得精度を確認しました。AIがどの情報まであれば企業を正確に特定できるかを確認するため、以下の条件を比較しています。
- 社名のみ
- 社名+ドメイン
- 社名+住所
- 社名+ドメイン+住所(二段構え設定)
設定画面で「Breeze intelligenceを使用してプロパティを入力」を有効にし、取得したい情報として「法人番号」を指定します。
プロンプトに「各企業の法人番号を調査し、このプロパティに法人番号を入力してください」と入れました、
この設定により、AIが各レコードの社名やドメイン情報をもとにWeb上の公開データを参照し、該当する法人番号を自動取得します。
実際の検証では、プレビュー上で複数の企業レコードに問題なく法人番号が自動的に付与されることを確認しました。

また、プロンプトを調整して、精度がどのくらい変化するかについても検証しています。
テスト結果
今回の一連の検証結果は、以下の通りです。
| テスト条件 | 結果 |
|---|---|
| 社名のみ | ✕ |
| 社名+ドメイン | ◯ |
| 社名+住所 | △ |
| 社名+ドメイン+住所(二段構え設定) | ◎ |
最も精度が高かったのは「社名+ドメイン+住所」を組み合わせた二段構え設定です。
社名のみを入力した場合は、AIが企業を特定できず、法人番号が付与されないケースが大半を占めました。
一方で、ドメインを追加したレコードでは取得率が大幅に向上し、住所情報を加えることでさらに安定した結果が得られています。
重複社名の代表例として「株式会社アシスト」で検証しました。社名のみのレコードはエラーとなり法人番号は付与されませんでしたが、正式ドメインを登録したレコードでは正しい法人番号が取得できました。
一方で、類似ドメインの場合は別法人の番号が付与されるケースも確認しています。この結果から、同名企業を特定する際にはドメインの正確性が精度を左右することが分かりました。

全体として、AIが企業を識別するには固有情報(ドメインや所在地)の精度がポイントになることが分かりました。また、精度向上と引き換えにクレジット消費量が増える点も確認され、実装時には運用設計が重要になります。
テストに要した費用
スマートプロパティを実行するたびに、各レコードでHubSpot AIクレジットが消費されます。
1つのスマートプロパティの実行は、1レコードあたり10クレジットを消費する仕組みです。住所の自動補完や法人番号の自動付与といった処理は、この単価でカウントされます。
今回の検証では「住所を取得するプロパティ」と「その住所+ドメインをもとに法人番号を取得するプロパティ」の二段構え設定を実施しました。
そのため、理論上は1レコードあたり20クレジット消費する計算になります。
実際に50件を処理したところ、処理対象外になった一部レコード(住所が取得できず後段が走らないなど)を除き、合計で960クレジットを消費しました。
AIクレジットにはプランごとの上限があり、Professionalプランでは月3,000クレジットまでが標準で含まれます。
月3,000クレジットを超える分は追加購入となり、1クレジットあたりの単価はおおむね1.1円前後(購入方法により約1.08〜1.2円の幅あり)で課金されます。
したがって、精度を高めるほど消費クレジットも増え、コストは上がります。実装時は「どのレコードを対象に自動付与するか」「無料枠(月3,000クレジット)内でどこまで回すか」をあらかじめ決めておくことが重要です。
名寄せ・データクレンジングを自動化
スマートプロパティを活用すると、名寄せやデータクレンジングのプロセスを自動化できます。法人番号をもとに、同一企業レコードの重複登録を自動で検出し、統合候補を一覧で表示することが可能です。
さらに、法人番号の重複をトリガーにしてワークフローでアラートを発生させる設定もできます。担当者へ通知を自動送信したり、確認タスクを割り当てたりすることで、データ整備の対応をスムーズに進められます。
スマートプロパティは、データの鮮度と正確性を維持しながら、名寄せ作業の精度向上と工数削減を同時に実現する仕組みです。人手に頼らず、CRM全体の品質を安定的に保つ運用ができるようになります。
スマートプロパティを活用すれば、データ補完から名寄せまで、これまで手作業で対応していた管理業務を自動化できます。
ただし、最適な設定やプロパティ構成は、企業ごとの運用体制によって少しずつ異なります。自社データに合った設計を進めたい方は、HubSpot相談会で実際の活用事例を参考にしながら検討してみてください。
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HubSpotのスマートプロパティの主な機能

HubSpotのスマートプロパティは、AIが自動でデータを補完し、CRM運用を効率化するための機能です。ここでは、主な4つの機能を簡潔に紹介します。
- AIによるデータ自動補完
- HubSpot内の既存プロパティとの連携
- ワークフロー・レポートとの統合
- プロンプトによる柔軟なカスタマイズ
AIによるデータ自動補完
スマートプロパティの中心機能が、AIによるデータ自動補完です。会社名やドメインを入力するだけで、業種・所在地・法人番号などの企業情報を自動で取得できます。
データ自動補完の機能により、入力作業の多くを自動化できるため、CRMデータの精度と運用効率を大幅に向上させることが可能です。人による入力ミスや記入漏れを防ぎ、常に正確で整理されたデータベースを維持できます。
HubSpot内の既存プロパティとの連携
スマートプロパティで補完されたデータは、HubSpot内の既存プロパティと自動的に連動します。AIが取得した情報と手入力データの優先ルールを設定できるため、常に最新かつ正確な情報を維持することが可能です。
また、補完データを既存レコードと照合することで、重複レコードの検出や名寄せ精度の向上にもつながります。既存プロパティと連携することで、データ整合性を保ちながら、CRM全体の品質を安定的に高められます。
ワークフロー・レポートとの統合
スマートプロパティで取得したデータは、ワークフローのトリガーとして活用できます。例えば、法人番号が一致した企業レコードを自動で関連付けたり、SNS情報をもとに営業リストを自動更新したりといった処理が可能です。
また、補完されたデータはレポートにも自動反映されるため、営業活動やマーケティング分析の精度向上にもつながります。情報収集から活用までを一気通貫で自動化できる点が、大きな特徴です。
プロンプトによる柔軟なカスタマイズ
スマートプロパティでは、AIへの指示文であるプロンプトを活用して、目的に応じたデータ取得を柔軟に設定できます。例えば「この会社のドメインからLINE公式アカウントを探して」と入力するだけで、関連情報を自動で取得できます。
ノーコードで設定できるため、専門的なスクリプトや開発をする必要がありません。取得する情報の種類や精度を自社ニーズに合わせて調整できる点が、大きな魅力です。
スマートプロパティの機能は、どれも日々のCRM運用を確実に楽にするものばかりです。データ入力の手間を減らすだけでなく、情報の整合性や活用精度まで自動で底上げできます。まずは一つのプロパティから導入して、AIがどのように補完してくれるのかを体感してみてください。
HubSpotのスマートプロパティの設定方法

スマートプロパティは、HubSpotの管理画面からノーコードで設定できます。AIが自動でデータを補完する仕組みを作るための手順は、次の4ステップです。
- スマートプロパティ設定画面を開く
- プロンプトを作成してAIに指示を出す
- ワークフローや他プロパティと連携する
- 設定後にテスト・管理を実施する
順番に見ていきましょう。
1. スマートプロパティ設定画面を開く
まず、左サイドバーのメインメニューから「データ管理 → データエージェント」を選択します。データ補完やAI活用に関する各種設定をまとめて管理できる画面です。

画面を下にスクロールすると、「スマートプロパティを作成」というセクションが表示されます。ここから新しいプロパティを追加して、AIに指示を出す設定をします。
なお、この操作には管理者権限が必要です。一般ユーザーでは作成項目が表示されない場合があるため、事前に権限を確認しておきましょう。
2. プロンプトを作成してAIに指示を出す
次に、AIに実行してほしい内容をプロンプトとして入力します。テキスト欄に「この会社のドメインから法人番号を取得して」といった形で、AIへの指示をそのまま文章で入力してください。
入力が完了したら、「プロパティを生成」をクリックして設定を確定します。

画面右側には、あらかじめ用意されたテンプレート一覧が表示されます。よく使われる形式(例:会社情報の自動補完、連絡先の更新など)から選択し、目的に合わせて内容を調整しましょう。

AIがどの情報を取得し、どのプロパティに書き込むかは、このプロンプト設定で決まります。指示内容を具体的にするほど、AIによるデータ補完の精度が安定します。
3. ワークフローや他プロパティと連携する
スマートプロパティで補完したデータは、ワークフローや既存プロパティと自動で連携できます。
例えば、法人番号が登録されたタイミングで関連会社レコードを自動的にリンクさせる、といった運用も可能です。
法人番号と関連会社のレコードがリンクすると、同一企業の取引履歴や担当者情報を一元的に管理できるようになります。
AIで補完された情報をトリガーとして設定すれば、手動更新の手間を減らしながら、関連データの整合性を維持できます。担当者の作業負担を減らしつつ、CRMデータの鮮度を維持できる点が大きな利点です。

スマートプロパティとワークフローを組み合わせると、法人番号の取得から関連レコードの更新・通知までの一連の流れをHubSpot内で完結できます。
人手に依存せず、AIが生成した情報をリアルタイムで運用に反映できるのが大きなメリットです。
4. 設定後にテスト・管理を実施する
スマートプロパティを設定したら、テストレコードでAIが正しく動作するかを確認します。法人番号や所在地などが想定どおりに補完されるかをチェックし、結果に問題がないかを履歴から確認します。
誤った補完が見られる場合は、プロンプト内容やワークフロー設定を見直しましょう。不要な設定は削除・修正しておくことで、運用時のトラブルを防止できます。
ここまで設定できれば準備は完了です!あとは実際のレコードでAI補完がどのような動きをするか、運用しながら最適化していきましょう。
HubSpotのスマートプロパティ活用時の注意点

スマートプロパティは便利な機能ですが、運用時にはいくつか注意が必要です。導入前に押さえておきたいポイントは次の3つです。
- HubSpot AIクレジットを消費する
- AIが入力したデータが正しいとは限らない
- 機密情報の入力や共有に注意する
それぞれ順に見ていきましょう。
HubSpot AIクレジットを消費する
スマートプロパティを利用すると、HubSpot AIクレジットが消費されます。処理件数に応じてクレジットが減少するため、定期的に残量を確認しながら運用することが大切です。
特に、レコード数が多い企業ではクレジットの消費ペースが速くなる傾向があります。運用開始前に消費量の目安を試算しておくと、コスト管理がしやすくなります。
詳しくは、「HubSpotでAIを活用する方法を解説|Breezeの主要機能と外部AIツールの連携」をご覧ください
AIが入力したデータが正しいとは限らない
AIが自動補完したデータには、誤りが含まれる場合があります。特に法人番号やSNS情報は間違いやすいため、補完結果を定期的にチェックし、必要に応じて修正しましょう。
AIは公開情報をもとに推定する仕組みのため、企業名が似ている場合などは誤ったデータを取得することもあります。初期運用の段階では、サンプルを確認して精度を把握することが重要です。
機密情報の入力や共有に注意する
AIプロンプトに個人情報や、社外秘情報を入力するのは避けましょう。AIが外部システムを参照する場合があるため、HubSpot外に情報が送信されるリスクにも注意が必要です。
特に、顧客名・取引内容・契約金額といった機密データを含むプロンプトは入力しないようにしましょう。社内ルールとしてAI利用のガイドラインを整備しておくと、安全な運用ができます。
AIと連携した適切な顧客データ管理は、ポイントを押さえた運用ルールの確立で安心して活用できます。チーム内で設定手順や確認フローを共有しておくと、より安定した運用につながります。
HubSpotのスマートプロパティを活用して、データ管理を自動化しよう

スマートプロパティは、AIがデータを自動補完してくれる強力な機能です。法人番号や業種、SNS情報などを自動で取得することで、営業・マーケティングのデータ整備にかかる手間を大幅に削減できます。
設定もシンプルで、ワークフローや他プロパティと組み合わせることで、さらに活用の幅が広がります。正しく運用すれば、HubSpot上の情報を最新・正確な状態に保ち、チーム全体の生産性を高められるのではないでしょうか?
まずは小規模な範囲から始めていくことをおすすめします。既存レコードの一部を対象にAI補完を試すことで、精度やクレジット消費の傾向を確認できます。
運用ルールを整えながら少しずつ拡大していくのが、スマートプロパティを安定活用するコツです。
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