
多くの企業が営業成果の最大化を目指してCRMを導入するものの、以下のような壁に直面することも少なくありません。
「設定が複雑で使いこなせない…」
「データ入力が負担で形骸化してしまう…」
結局、Excelやスプレッドシートに戻ってしまった方もいるのではないでしょうか?
もし、このようなCRMに関する課題や悩みを抱えているなら、AIネイティブCRMツール「Attio(アティオ)」がおすすめです。
Attioは、AIがデータの取り込みから整理、活用提案までサポートする次世代のツールです。まだ日本では広く知られていませんが、将来のCRMの主流となるかもしれないと注目されています。
本記事では、Attioの特徴やメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。どのような企業に向いているか知りたい方は、最後までお読みください。
最近「Attio」の名をBtoBの業界でよく耳にするようになりました。このAIネイティブCRMは、数年後、SalesforceやHubSpot、ZOHOにつぐ、市場の主要な選択肢になるかもしれません。本記事では、その可能性について迫ります。
コンテンツ目次
従来のCRM・SFAツールの課題

多くの企業が営業力強化を目指して、CRMやSFAツールを導入しますが、必ずしも期待通りに活用されているとは限りません。
高機能なツールを導入したものの「使いこなせない」「結局Excelやスプレッドシートに戻ってしまった」という声は多々あります。
なぜ、このような状況が起こるのでしょうか。
その理由のひとつは、データの入力や維持に手間がかかり、せっかくの情報が埋もれてしまうからです。日々の業務の中で、細かなデータ入力作業は大きな負担となりがちで、結果として情報が最新の状態に保たれにくくなります。
また、多機能であるがゆえの操作の複雑さや設定の難しさから、現場の担当者がツールを敬遠しがちになるケースもあります。その結果、データが活用されず、ツールの導入効果を十分に得られないケースに陥りがちです。
より効果的な営業でのデータ活用方法については、下記の記事でも詳しく解説しています。
>>営業でデータ活用を進める4つのステップと、実際の事例をご紹介
CRM・SFAツールのこのような課題にお悩みの方におすすめなのが、本記事で紹介するAIネイティブCRMツール「Attio(アティオ)」です。
AIネイティブCRMツール「Attio(アティオ)」とは?

Attioは、2018年にイギリスのロンドンで誕生した、まさに次世代型と呼ぶにふさわしいCRMツールです。従来のCRMが抱える課題を解決し、より直感的で効率的な顧客管理ができることを目指して開発されました。
その大きな特長は、「AIネイティブ」である点です。単に、既存のCRMにAI機能が後付けされたものではなく、AIがCRMツールの核となる設計です。
つまり、AIありきで考え抜かれたCRMツールと言えます。
データの取り込みや整理、分析、そして活用に至るまで、あらゆるプロセスでAIが機能し、ユーザーの作業が劇的に効率化・高度化します。
ただし「AIネイティブ」という概念自体は、まだBtoB分野の市場全体で見ると発展途上です。これから、さらに伸びていくと考えられますが、Attioはその先駆けとして、新しいCRMのあり方を示しています。
Attioの料金プラン
Attioは利用規模や必要な機能に応じて、下記の料金プランを提供しています。
プラン名 | 月額プラン | 年間プラン |
---|---|---|
Free | 無料 | 無料 |
Plus | 36ドル | 348ドル(29ドル/月) |
Pro | 86ドル | 828ドル(69ドル/月) |
Enterprise | 要見積もり | 要見積もり |
料金はドルのため、為替レートによって変動する可能性がある点にご留意ください。
無料プランも用意されているため、まずは試してみたい企業にもおすすめです。
AIネイティブCRMツール「Attio(アティオ)」の特徴

Attioが「AIネイティブCRM」として注目される理由は、そのユニークな特徴にあります。ここでは、Attioの主な特徴として以下の3点を掘り下げて解説します。
- 柔軟かつ高速なデータ基盤
- あらゆる情報を最適化し提供
- 先を見越した自動化と最適な行動への誘導
柔軟かつ高速なデータ基盤
Attioの根幹は、あらゆるビジネスモデルに適応可能なAIネイティブなデータモデルです。企業が本当に管理したい情報を、使いやすい形で整理・活用できる仕組みを提供します。
この考え方に基づいているため、大量のデータも正しく整理して保存し、必要なときに素早く取り出して使用できます。会社や人物、商談といった基本的なデータはもちろん、自社の業務に合わせてノーコードで自由にカスタマイズ可能です。
数百万件におよぶデータであっても、瞬時に検索や絞り込み、並べ替えができる圧倒的な処理速度も大きな特長です。
情報が蓄積されるほど、より深い分析や的確な判断ができるようになり、データの価値を最大限に引き出せるようになります。
あらゆる情報を最適化し提供
Attioは、Excelのような整理されたデータだけでなく、メールや会議の議事録、各種ドキュメントといった非構造化データも自動で取り込みます。その際、AIがそれらのデータを関連付けて学習するため、顧客や案件に関するあらゆる情報がAttio内に一元的に集約されます。
一括して集められた情報を元に、常にユーザーにとって最適な形で情報を提供することが、Attioの目的のひとつです。
例えば、GmailやGoogleカレンダーと連携すれば、顧客とのメールや会議の議事録などが自動記録され、手入力の手間が大幅に削減されます。
取り込まれた情報は、過去のコミュニケーションとして自動的に整理され、時系列で分かりやすく表示されます。そのため、担当者は情報を時系列ごとに整理する必要がありません。
また、検索機能も有効です。メール本文や添付ファイル、議事録の中身まで含めて検索できるため、必要な情報をキーワード一つで迅速に見つけ出せます。
先を見越した自動化と最適な行動への誘導
Attioは、営業戦略の設計から日々のタスク実行まで、積極的に支援できます。その中心となるのが、ユーザーに代わってタスクを処理したり、意思決定をサポートしたりする「AIエージェント」の活用です。
このAIエージェントがユーザーの潜在的なニーズを予測し、複雑なタスクを自動化します。その機能を活用することで、できるだけ手作業を排除し、効率的に業務を進められるプラットフォームを目指しています。
「一定期間連絡がないリードにフォローアップする」といったタスクを自動で作成すれば、タスクの対応漏れや機会損失を防止することが可能です。
また、API連携をすれば、Attio内のデータやイベントをトリガーとして、外部システムと自動で連携できます。将来的には、AIアシスタントが以下のような提案をする機能も搭載予定です。
「この案件は、今がクロージングのチャンスです」
「この顧客には、このような情報提供が効果的と思われます」
データに基づいた最適なネクストアクションをAIが提案することで、さらに質の高い営業活動ができるようになります。
次章からは、Attioのメリット・デメリットについて見ていきましょう。なお、メリット・デメリットの全体像については、以下のX(旧Twitter)のポストでも言及しています。
AIネイティブCRMツール「Attio(アティオ)」のメリット

Attioの主なメリットは、以下の通りです。
- リード情報を取り込みやすい
- 自動でリード情報をリッチにできる
- リレーショナルデータベース構造が簡単に作れる
リード情報を取り込みやすい
従来のCRMで煩雑だったリード情報の登録作業も、Attioならスムーズです。名刺や問い合わせリストなど、取り込みたい情報に合わせて、Attio側のデータ項目やオブジェクトをノーコードで簡単に調整できます。
具体的には、メール本文からのコピー&ペーストや、CSVファイルからのインポートが簡単です。AIがデータの種類をある程度自動で判別してくれるため、項目ごとのマッピング作業の負担も軽減されます。
また、WebフォームやAPI連携を活用して、ほかのツールと接続することで、新たなリード情報を自動でAttio内に収集します。
自動でリード情報をリッチにできる
登録されたリード情報を自動で、詳細化(エンリッチメント)してくれる点もメリットです。手作業で企業情報を調査したり、担当者の詳細を入力したりする手間を大幅に削減できます。
例えば、Attioに登録された会社名やメールアドレスといった基本的な情報から、AIがインターネット上の公開情報などを参照します。その企業の業種や従業員数、所在地、公式サイトのURLといった企業情報を自動で補完できるため、ネットでわざわざ調べる必要がありません。
また、担当者の役職や、LinkedInやFacebookなどのSNSプロフィールといった、より詳細な人物情報も自動で追加できます。
結果として、よりパーソナライズされた情報をもとに、質の高い営業活動を進められます。
株式会社FLUEDには、FINDFOLIO(ファインドフォリオ)というCRMリードを最新の法人・ニュース情報で強化できるサービスがあります。60万件の法人データと、400万件以上の企業ニュースを月額50,000円(税抜)から活用できます。
リレーショナルデータベース構造が簡単に作れる
Attioの3つ目のメリットは、自社に合わせて「どんな情報を」「どのように結びつけて」管理したいか柔軟に決められる点です。
例えば、A株式会社という会社情報に「山田さん」という担当者情報や「新規契約の商談」といった複数の情報を紐付けられます。会社、担当者、商談といった異なる情報同士の関連付けを、ドラッグ&ドロップのような簡単な操作で自由に設定できます。
また、自社の独自のビジネスモデルや、特に管理したい情報に合わせて、データ構造を自由にカスタマイズすることが可能です。
結果として、必要な情報に素早くアクセスできるようになります。
AIネイティブCRMツール「Attio(アティオ)」のデメリット

多くのメリットがあるAttioですが、導入を検討する際にはいくつかデメリットも理解しておく必要があります。
ここでは、主なデメリットとして以下の4点を解説します。
- MAツール系の機能はまだ弱い
- SalesforceやHubSpotと比べると連携ツールが少ない
- 日本語に対応していない
- フォーム機能がない
MAツール系の機能はまだ弱い
AttioはCRMとしてのコア機能は強力ですが、マーケティングオートメーション(MA)ツールとしての機能は、現時点では限定的です。本格的なMAツールと比較すると、リードナーチャリングのシナリオ設計や詳細な効果測定といった機能は、今後の機能拡充に期待したい部分です。
また、メールマーケティングやセグメンテーションの標準機能も、基本的な用途には対応できます。しかし、より複雑で高度なキャンペーン運用を求める場合には、機能不足を感じる可能性があります。
ただし、Attioは急速に進化していて、今後のアップデートやAI機能のさらなる進化によって、大幅に強化される可能性が高いです。
SalesforceやHubSpotと比べると連携ツールが少ない
世界的に高いシェアを持つSalesforceやHubSpot CRMと比較すると、現時点ではAttioが直接連携できる外部ツール数は決して多くありません。自社で既に利用している特定の業務ツールとの連携が必須な場合、対応状況を事前に確認する必要があります。
もちろん、ZapierやMake(旧Integromat)といった連携プラットフォームを活用すれば、多くのツールと連携可能です。しかし、公式に用意された連携ツールの数や設定の容易さ、連携のスムーズさでは、大手CRMに劣ります。
ただし、今後のAPIの公開や連携アプリ開発が進むことで、連携ツールは増加していくと予想されます。AIの進化が速いので、連携拡充のペースも、従来のツールとは比較にならないほどスピーディーになるかもしれませんね。
>>HubSpotと連携できるおすすめのツール・アプリ41選!マーケ・営業・CSから会計まで
日本語に対応していない
2025年5月現在、Attioのユーザーインターフェース(UI)は、主に英語で表示されています。メニューや設定項目、説明文などが英語で提供されるため、この点は導入を検討する上で考慮すべきです。
ただし、AttioのUIデザインや各機能の名称は、比較的シンプルで理解しやすいです。そのため、英語に極端な苦手意識がなければ、操作自体に大きな支障を感じることは少ないと言えます。
また、Webミーティングの議事録やリサーチ等のAI機能の日本語対応も、今後の対応強化が期待されるところです。グローバル展開を進める中で、日本語対応も進んでいくと考えられます。
フォーム機能がない
Attioには、現時点では標準機能として、フォーム機能は搭載されていません。
しかし、この点は多くの場合、大きな問題にはならないと言えます。なぜなら「Fillout」という非常に高機能で使いやすいフォーム作成ツールが、Attioとネイティブ連携しているからです。この機能を活用することで、フォーム機能の不在を十分にカバーできます。
AIネイティブCRMツール「Attio(アティオ)」に向いている企業と向いていない企業

ここまでAttioの特徴やメリット、デメリットを見てきました。これらの点を踏まえ、Attioの導入に向いている企業と向いていない企業を整理しましょう。
自社の状況やニーズと照らし合わせながら、最適なツール選択の参考にしてください。
向いている企業 | 向いていない企業 |
---|---|
・SFA ・CRMツールを導入したけど断念した経験がある企業 ・AirtableやNotionを活用している企業 ・独自のデータ管理が必要なビジネスモデルの企業 | ・高度なカスタマイズ開発をしている企業 ・業務プロセスが完全に確立される企業 ・データ構造の設計や活用に積極的な人材 ・文化がない企業 |
Attioは、特に従来のSFAやCRMは複雑で使いこなせなかった企業におすすめです。「AIの力で営業プロセスを根本から変革し、生産性を向上させたい」という強い意欲を持つ企業に、魅力的な選択肢と言えます。
また、NotionやAirtableのようなツールで顧客管理を工夫してきた企業にも、Attioのデータモデルは親和性が高く、おすすめです。
一方で、既に多額の投資をして作り込んだ既存システムがあり、移行コストが大きい場合や、安定した既存プロセスを重視する企業には向いていません。
また、操作画面やサポートが完全に日本語でないと困る、という企業にも、Attio以外のツールを検討した方が良いかもしれません。
Attioは、特に変化の速いスタートアップや、独自のデータ活用を模索する企業にとって強力な武器になり得ます。ただし、既存システムとの兼ね合いや日本語サポートの現状は、導入前に必ず確認すべきポイントです。
AIネイティブCRMツール「Attio(アティオ)」は今後の主流になるか

Attioは、AIを核に従来のCRMの課題を解決し、柔軟なデータ活用を実現します。現状では日本語対応などに課題もありますが、AI技術の急速な進化とともに、その機能は日々強化されています。
データ活用が重要となる現代において、AttioのようなAIが業務を賢く支援するツールの重要性は増すばかりです。数年後、このようなツールがCRMの主流となっているかもしれません。
次世代の顧客管理を目指す企業にとって、Attioは今まさに注目すべき存在です。
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