せっかく入手した顧客データを最初に入力したまま、長らく放置していないでしょうか。
顧客データベースは、整理をしないまま使っていると、いつのまにか重複データがあったり、同一顧客を別の顧客として登録したりしているものです。
そのまま使い続けては、営業機会の逸失やコストの浪費につながりかねません。
そのような問題を解消するために大切なのが「名寄せ」です。
名寄せは営業効率アップのために欠かせない作業と言えるでしょう。
この記事では、すぐに実践できる名寄せの方法を紹介しています。
コンテンツ目次
顧客データの名寄せとは
名寄せとは、複数のデータベースに散らばった顧客情報を一つにまとめる作業のことです。
会社名や住所、電話番号などの情報項目をキーとして設定し、同一企業を判別、抽出の上、それらのデータを一つにまとめる作業を言います。
企業のデータベースには、いつのまにか同一企業のデータが重複して保存されていることが多いものです。
名寄せによって、精度の高いデータベースを作成することで、効率的な営業活動やマーケティング活動が可能になるのです。
名寄せをせずに顧客データを放置するデメリット
顧客データは、名寄せをせずにそのまま放置しておくと、マーケティング活動においても、営業活動においてもさまざまな不利益を被ることになります。
効率的に売り上げアップを狙うには、名寄せを行うことは大変有意義なことなのです。
マーケティングにおいて正確なデータを取れない
効率的な営業活動のためには、効果的なマーケティング活動を行うことが非常に重要です。
しかし、精度の低い顧客データを使用していては、正確なマーケティングデータを取ることができません。
たとえば、ある顧客が短期間の間に、何度も自社のWebページを訪問していたとします。
さらに数日後、Webページから資料をダウンロードしたとしましょう。
この場合、この顧客はかなり見込み度の高い顧客であると判断できます。
しかし、短期間に何度もWebページを訪問していた顧客と、資料をダウンロードした顧客が、同一顧客であるにも関わらず、重複データとして別の顧客として登録されていたとしたらどうでしょう。
マーケティングデータとしては、かなり正確度に欠いたデータとなってしまうことがお分かり頂けるかと思います。
正確なマーケティングデータを取れなければ、的確な営業アプローチもできません。
みすみす営業機会を逃すことにもなりかねないのです。
余計なコストをかけ続ける可能性
顧客データを活用するシーンとして、多いのがDMやキャンペーンメールの一斉送付でしょう。
これらの施策を行う場合、当然コストがかかります。
正確なデータを元に宛名を作成、送付する必要があるでしょう。
しかし、元になる顧客データベースにデータの重複があれば、同じ企業に同じ内容の案内を複数送ってしまうことになり、無駄なコストが発生します。
そのような質の低いデータベースを長期間放置しておけば、DMを送付する度無駄なコストが発生し続けることは明らかです。
信用の低下による営業機会の逸失
同じ企業に同じ内容の案内を重複して送ってしまうことは、コストの無駄だけでは終わりません。
重複してDMを受け取った顧客側は、顧客データ管理をきちんとできない企業と見なし、あまり信用できない企業であるという印象を受けるでしょう。
一度ならまだしも、これがずっと続けば、DMが送られてくる度、信用できないという印象が上書きされ続けることになります。
信用できない企業からサービスを購入するようなリスクをわざわざ犯す顧客はいないでしょう。
質の低い顧客データを放置した結果、営業機会を失う可能性もあるのです。
顧客データを名寄せする方法
では、顧客データの名寄せは、具体的にどのように行えばよいのでしょうか。
ここでは、顧客データを名寄せする方法を順を追って解説します。
データの調査
まずは、何をキーにして名寄せを行っていくかを決めるため、既存のデータベースの調査から始めます。
名寄せでは、重複データを見つけ出すことが肝心です。
自動的に重複データを見つけるために必要なのが、キーとなる項目です。
各データベースに共通のIDが設定されている場合は、IDをキーとします。
IDが設定されていない場合は、空白データがなく、同じ形式で入力されているものを優先して使いましょう。
たとえば電話番号の項目がハイフンを使って入力しているものと、ハイフンなしで数字のみを入力しているものが混在しているなら、それはキーとしては不向きであると判断されます。
そうはいっても、全体的にバラつきがあり、入力形式が統一されている項目がないことも少なくないでしょう。
その場合は、容易にバラつきを解消できそうな項目を優先してキーにします。
会社名を「株式会社」と入力しているか「(株)」として入力しているかを修正する方が、電話番号のハイフンを修正するよりは、修正箇所が1カ所で済むので効率的です。
このように、どの項目をキーにして名寄せを行えばよいかをデータ調査では決めていきます。
なお、法人番号をキーとするのも1つの手です。
データ抽出
キーとする項目を決めたら、対象となるデータベースから必要なデータを抽出していきます。
特に複数のデータベースを統合したい場合、同一の情報でも入力形式が異なることもあるでしょう。
その場合は、どちらかのデータベースに合わせますが、後でデータを突き合わせるときの利便性を考えたときに、より便利だと思われる方に合わせます。
たとえば、一方のデータベースでは、「住所」として入力されているものが、もう一方のデータベースでは、「都道府県」「市町村名」「番地」「ビル名」となっている場合、細かく切り分けられた後者に合わせた方がよいでしょう。
データを突き合わせるときに重複を見つけやすくなります。
データクレンジング
続いてデータのクレンジングをして、入力データのバラつきを修正します。
アルファベットは全角入力するのか、半角入力するのか、住所は都道府県から入力するのか、番地は「○丁目×番●号」と表記するのか「○-×-●」といったハイフンを使った表記にするのか、など、入力ルールを統一しましょう。
データクレンジングを徹底的にやっておかないと、重複データを見つけることが困難になり、名寄せをしても精度の低いデータベースとなってしまいます。
明確に決めたルールを遵守し、正確に入力するようにしましょう。
データの統合
最後にデータを統合します。
統合前に、データクレンジングの終わったデータを確認し、キーとして設定した属性データによって同一と識別される情報には、同一のIDを付与しておくとよいでしょう。
そうすることで、重複データを特定しやすくなります。
データの重複分を削除し、統一していけば、質の高いデータベースが完成します。
エクセルで顧客データを名寄せする方法
データベースをCSVデータにして、エクセルで名寄せを行う方法なら、費用をかけずに行うことができます。
ここでは、エクセルによって顧客データを名寄せする方法をご紹介します。
キーを決める
まずは「顧客データを名寄せする方法」でも説明したとおり、まずはキーを決めます。
データ調査の上、データの空白がないもの、入力にバラつきが少ないものを探し、リストの内容や今後の活用方法に応じて決定するとよいでしょう。
エクセルでのデータクレンジング
続いて、データの入力ルールを決めた上で、クレンジングを行っていきます。
その際、エクセル関数を活用すると効率的です。
次のような関数が役に立つでしょう。
TRIM関数
不要なスペースを削除する関数です。
「=TRIM(セルの範囲)」と入力すれば、文字と文字の間にあるスペース1つのみを残して、残りは削除してくれます。
CLEAN関数
不要な改行を削除する関数です。
「=CLEAN(セルの範囲)」と入力すれば、改行を削除し、文字列をつなげて表示することができます。
VLOOKUP関数
VLOOKUP関数とは、表を縦方向に検索し、検索条件と一致したデータを抽出する関数で、「=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索の型)」と入力します。
どのキーワードで(検索値)、どの範囲のセルを検索して(範囲)、どの列上のデータを取り出すのか(列番号)、また完全に一致するデータを取り出すのか、近いデータを取り出すのか(検索の型)を指定します。
名寄せのように、大量のデータから特定のデータを抽出したいときに大変便利でしょう。
さらに列順は、名寄せ後のリストに合わせておきましょう。
列順を変更する際に、関数を使って作成した新しい列は、元のデータが削除されたり、移動したりするとエラーになります。
全体をコピーし、値貼り付けをしたものを用意しておくようにしましょう。
エクセルでのデータ統合
統合したリストのクレンジングが完了し、列順もそろえたら、いよいよデータを統合します。
二つのデータを結合する際は、表題部分も一緒に結合してから、不要な箇所を削除した方がわかりやすいでしょう。
結合が完了したら、エクセルの「重複の削除」機能を使って重複データを削除、整理します。
顧客データの名寄せツール4選
既存のツールを使って名寄せを行えば、自動で行ってくれることも多く、手間が減って便利です。
さらに、ツールが独自に収集、蓄積したデータを付与してくれるものを選べば、より質の高いデータベースにすることができるでしょう。
BEEGLEデータ
社内で蓄積されたデータだけでなく、外部の企業データもAPI連携できるツールです。
企業の公式サイトから情報収集し、国税庁の定める法人番号をキーとしてデータの統合化をしてくれます。
情報は2カ月ごとに更新されるので、データが古いために非効率な動きをしてしまう心配もありません。
質の高い営業リストを簡単に手に入れることができます。
DataStage
知識がないまま自社で開発するよりも、高精度な名寄せの処理ができるシステムです。
データクレンジングを行う際に必要なルールセットを提供することで、通常のプログラムよりも精度の高いデータクレンジングを行ってくれます。
さらに、クレンジング後のデータの類似性を定量化することで、重複データを関連付け、その中から最適なデータのみを残すことで、質の高いデータベースにすることができます。
FORCAS
企業名やURLなどの情報を入力したエクセルをアップロードすれば、正式な企業名や法人番号を自動で特定し、名寄せをしてくれます。
企業名が特定できない場合は、表示される複数の候補から該当企業の情報を選び、Web上で名寄せができます。
さらに、FORCASが所有する独自のデータを、自社が持つ既存データに付与することも可能です。
USONAR
顧客データの名寄せを、日本最大の「法人データベースLBC」と連携して行ってくれます。
表記のバラつきや重複データの削除も自動で行い、質の高いデータを提供してくれます。
さらに、法人データベースLBCとの連携によって、LBCが保有する、業種や売上規模といった企業属性などのデータを、既存のデータに付与することで、顧客データの拡張も可能です。
顧客データの名寄せによって営業効率を上げよう
名寄せされた精度の高い顧客データを活用すれば、営業効率をアップさせるのに大きく貢献してくれるものです。
しかし、名寄せの重要性に気づき、早速実施しようと思ったものの、データの扱いに慣れていないため、なかなか進められずに困るということもあるかもしれません。
そんなときは、営業DX.jpを運営している「FLUED」に相談してください。
FLUEDのマーケティング・営業の専門家が、営業活動の効率化に有効な顧客データの活用法を提案し、売り上げアップのお手伝いをいたします。