営業活動における情報収集は、商談からクロージングまで欠かすことのできないプロセスの1つです。顧客の最新情報をつぶさにチェックし、誰がどのタイミングでどういう意図を持って情報を発信しているのか、そしてその情報を正しく解釈できるかが重要になります。
本記事では、優秀な営業が情報収集時に必ず行っていることを共有します。皆様の営業活動のプロセスにおいて参考にしていただければ幸いです。
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コンテンツ目次
営業が情報収集をする際にチェックすべき方法
まずはじめに顧客に関して情報収集を行う際、どういったアプローチやツールを活用すると情報収集が効率よく実施できるのでしょうか。営業が情報収集の際に行なっている方法について解説していきます。
コーポレートサイトのチェック
もっともオーソドックスな方法がコーポレートサイトのチェックです。会社概要やIR情報、サービス内容や役員構成をチェックし、自身が営業をかける顧客の基本的な情報を幅広く得ることができるでしょう。提案をする自社の商材が営業を実施する会社にどう課題を解決し、どのように貢献できそうか、想定パターンをイメージすることもできるでしょう。
Webサイトは会社の入り口に相当し、開かれた情報を無料で入手可能です。営業プロセスの中で、まず初めに情報収集すべき対象であり、ツールなど使わずとも得られる貴重な情報源です。サイトをチェックせず営業訪問を行うことは、何も準備していないことを自ら表明するレベルの行為ですので、必ずチェックするようにしましょう。
検索エンジンの活用
GoogleやYahooなどの検索エンジンを活用することも情報収集には欠かせません。関連ワードを検索することで会社情報以外に関係のある情報が入手できるはずです。例えば、営業面談を実施する相手方の名前がわかっている場合、面談相手の名前を検索にかけることで登壇しているイベントの情報やインタビュー記事がヒットするかもしれません。
Webを使った情報発信を行なっている企業も多いため、メディアに登場しているケースも考えられます。また、本名でSNSなどを行っているケースもあるため、どういったことに興味があるか、普段どういう考え方をしているかについて情報を入手できる可能性もあります。
覗き見するような感覚もあるかもしれませんが、全世界に無料で公開されている情報を閲覧するだけであり、営業面談のアイスブレイク等に活用するのであれば、特に問題はないでしょう。むしろ趣味などが分かれば、一気に距離感を近づけることができるかもしれません。
情報はどのように活用するか次第なので、ネットリテラシーを遵守しながら情報収集することをお勧めします。
業界特化メディアのチェック
マーケティングや営業専門メディア、あるいは業界ごとに発信しているメディアに目を通しておくと、特定の情報について踏み込んだコンテンツを得られるでしょう。業界知識はもちろんのこと、専門的な情報に目を通すだけでユニークな情報や課題が見えてくることでしょう。
簡単に理解できる内容ではないかもしれませんが、面談相手の理解に少しでも繋がるのであれば情報収集することはポジティブな結果につながることでしょう。
素人観点でも思いついた疑問を投げかけることで、業界専門の人にとって思いがけないヒントになるかもしれませんし、リサーチしていることをさりげなくアピールして、信頼を獲得できるかもしれません。
有料データベースやツールの活用
有料にはなりますが、外部の調査機関や研究機関が出している企業情報や論文データなど、詳細情報を入手できる場合は契約の上活用することも一つの手段と考えられます。このようなツールを使うことで、営業が行う情報収集の効率化が期待できるでしょう。
また、日経テレコンのように過去に遡ったメディア情報の入手も、過去の出来事を事前に調べることができるので企業研究の際に役に立つでしょう。
しかし、営業的な観点で言えば、業界特化メディアまでをリサーチしていればひとまずは十分と考えられます。したがって、まずはお金をかけなくても、入手可能な情報収集を確実に行い、営業に向けた準備が行えるでしょう。
営業が情報収集をする際に気をつける4つのポイント
営業が情報収集をする際に、どのような点に気をつける必要があるか本章では触れていきます。
①さまざまなチャネルから入念な下調べをしておく
一点目は、情報収集のチャネルを複数持つということです。コーポレートサイトや有料のツールなど信頼に足るソースであれば1つでも良いかもしれません。しかし、検索サイトで登場する情報であれば、できるだけ情報の出どころを二箇所以上確保し、裏をとっておいたり、セカンドオピニオンのように情報の確からしさを担保しておくと良いでしょう。
シングルチャネルの情報源の場合、その情報の出どころが間違っていると正しい情報として活用ができなくなる恐れがあります。
面談前、面談中、面談後とタイミングごとに情報を整理する
また面談前、中、後と情報を何度も確認することです。これは同じ情報を3回チェックするという意味ではありません。優秀な営業は面談前に情報収集を行う際に仮説を立て、面談中は顧客に直接確認し情報を引き出し、最後に面談を通して入手した情報を整理するというプロセスを取ります。
それぞれのフェーズで情報収集の目的が異なりますので、区切りをつけて情報を整理する癖をつけることで、営業に必要な情報、役に立つ情報を明らかにできるでしょう。
②仮説を立て、ゴールを設定して面談に臨む
情報は収集するだけでは意味がありません。その情報に自分なりの意味づけを行い、仮説を立てることが必要です。
例えば、商談相手のビジネスモデルやサービスを踏まえ、自社サービスでどう貢献できるか仮説を立てることで、顧客とのディスカッションに活かすことができるでしょう。営業がいる意味は入手できる情報を踏まえ、目の前の顧客に合わせた価値提供を行うことです。
ネットで入手できる情報はただの情報に過ぎません。定まっていない情報も多く、ある程度仮説を持って顧客に提案をして反応を見るプロセスを踏むことで、必要な情報が明確になってくるはずです。
③BANT情報取得を目的としながらヒアリング
実際に商談相手を前にした際の振る舞いですが、Budget(予算)、Authentication(決裁者)、Need(必要性)、Timing(時期)を意識しながらヒアリングを行うと良いでしょう。
営業は自社のサービスが顧客にとって価値があることを提案し、契約してもらうことがゴールです。わかりやすいフレームワークであるBANT情報を意識しながら情報収集をすることが、効率の良い営業につながるはずです。
関連記事:BANTCとは何か?その重要性と効果的にヒアリングする際のポイント3選
コンペ情報を引き出す
相手は提案をする際、必ずしも自社が提案しているサービスだけを検討するわけではありません。必ずといっていいほど競合との比較を行います。
中でも商談相手がどのコンペと比較検討をしているかわかれば、自社の提案内容に差別化ポイントを盛り込むことができます。複数社の中から選定されなければいけないので、営業としてコンペ情報をできるだけ引き出すように意識しましょう。
④双方向のコミュニケーションを心がける
情報収集はコミュニケーションの流れで行われます。一方的に自身が聞きたい情報だけを聞いていては、コミュニケーションは成り立ちません。相手が何を話しているか傾聴し、その内容を踏まえたコメントを返し、円滑なコミュニケーションが行われることで入手したい情報も引き出せるはずです。
情報収集をするだけでなく、顧客に価値ある情報を提供する
コミュニケーションの中では、相手の話を傾聴することに加え、相手にとって必要な情報、価値のある情報を提示することも重要です。「自社のサービスを導入してどういった効果が出たか」「同じような業界や業種、同等規模の顧客は導入してどんな課題や悩みが解決したのか」などの価値提供があると相手の口も自然と緩むはずです。
自分が相手にとって必要な存在であれば、自然と入手したい情報が引き出せるようになるはずです。そのためには情報を受け取る(Take)だけでは好ましくありません。積極的に価値ある情報を提供(Give)し、相手にとって必要な存在になるよう準備することが重要です。
営業時に情報収集が重要な理由
なぜ営業活動において情報収集が必要なのでしょうか。意外とその意味をわかっていない方もいるかもしれません。本章では情報収集の重要性について簡潔に触れていきます。
顧客との認識共有
コーポレートサイトや検索して得られる情報は、基本的に公開情報です。入手が困難な情報でもない限り、商談相手は自社の情報を知っているという前提で話を進めるかもしれません。
仮に情報収集を事前にしていない場合、認識の共有が十分にできず、誰でも調べればわかる情報を限られた時間でわざわざ説明してもらう手間が発生します。
基本的な情報であれば、話の流れを止めることなくその情報はすでに相手に知っていることを伝え、その認識を共有した上で、提案につながるヒアリングを進めるなど、効率のよい営業活動ができるようになるでしょう。
準備していることで信用を獲得
また、誰もが入手できる情報であれば、基本的な情報をしっかりと押さえていることをそれとなく伝えることができます。
例えばGoogleで商談相手の名前を検索し、メディアやイベント登壇をしている場合、どういったコメントをしていて、どのような課題感があるかを直接相手に聞かずとも入手できるかもしれません。そして、その情報を入手するプロセスをすでに行なっていることが相手に伝われば、ちゃんと準備をしていることが伝わります。
これは一見当たり前のことですが、真剣に商談に向かっていることの証明にもなり、相手に好印象を与え、「この営業なら自社の悩みや課題を解決してくれるかもしれない」と、信用や期待を持って接してくれるかもしれません。
提案の質が高まり、受注につながるため
最も重要なことですが、営業が情報収集をすることで様々な種類や粒度の情報が集まります。
意味のあるものないものと様々ですが、顧客を理解しようとする姿勢そのものが、提案の質の向上に繋がります。結果的にこのプロセスは受注確度やキーとなる情報を入手できる確率を上げることにつながるのです。
しぶとく情報を取りにいく姿勢そのものは貪欲、謙虚、勤勉でないとなかなかできません。情報収集を丹念に行い準備を怠らない営業は結果的に成果を上げるのです。
営業が収集すべき情報
営業が収集すべき情報は「自分で調べられる情報」と「人脈から得られる情報」の2つに分けられます。
ここでは、2つの情報に関する内容と違いをお伝えします。
自分で調べられる情報
代表的な自分で調べられる情報とは「顕在化している情報」です。
企業やサービス情報、業界情報など、誰でも簡単に得られる情報になります。
こちらの情報は、テレビやインターネット、SNS、本・雑誌などから入手できます。
営業前には企業のホームページやSNSを確認し、日頃からテレビや本、雑誌で業界情報に関心を持っておくことが大切です。
ここで注意しなければならないのは、インターネットで調べた情報です。
企業のホームページや公式アカウントで発信されている情報は正確な情報であることは間違いありませんが、口コミサイトに投稿されている情報や個人ブログで公開されている記事などに記載されている情報は全て正しいとは限りません。
そのため、信用できる情報元であることを確認してから、インターネットやSNSでの情報を活用することは大切です。
また、担当者に直接聞いてみることも有効でしょう。
自社に興味を持ってもらうことは喜ばしいため、社外に公表できない情報ではない限り、テレビやインターネットなどで公開していない情報を得られるかもしれません。
人脈から得られる情報
続いて、人脈から得られる情報を解説します。
人脈から得られる情報とは「潜在化している情報」です。
潜在化している情報は、顕在化している情報よりもさらに詳しく、一般的には入手できないような情報が含まれます。
具体的には、企業内での部署間の連携や従業員の雰囲気、実際に行われている競合他社の戦略や直近の業界トレンドなどが挙げられます。
「潜在化している情報」は自分で調べることが難しいのですが、営業活動において非常に効果的です。
そのため、社内外で積極的にコミュニケーションを取り、人脈を形成することは重要です。
より良い提案のために情報収集を行おう
本記事では優秀な営業が情報収集を行う行動について解説しました。このような行動が当たり前にできている営業と、あまり実践していない営業では、どういった結果につながるでしょうか。
短期的にそれほど差はなかったとしても長期的には大きな差が広がっていきます。顧客のことを考え、いい提案ができるよう情報収集も抜け目なく行えるよう意識しながら活動することをお勧めします。
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