2022年6月19日に発売された㈱FLUED・松永と、㈱ネットショップ支援室・山本氏の共著『業務効率化からはじめるBtoB営業DX』より、営業DX先進企業のインタビューをご紹介します。
営業DXツール導入までのいきさつや、 デジタル化によって解決できた問題からまだ残されている課題まで徹底取材しました。
プロジェクトの責任者ならではの 苦労話を交えながら、現場のリアルな声をお届けします。
今回は、BtoB専用ECサイトを立ち上げることで、顧客管理の効率化を実現された株式会社利他フーズさまのインタビューです。
- 導入ツール:BtoB専用ECシステム(BtoB-EC) 、キャッシュレス決済システム
- お話:代表取締役 猪本 真也さん
- 聞き手: 株式会社ネットショップ支援室 山本 皓一朗氏
コンテンツ目次
混在していた個人情報と飲食店情報
山本:利他フーズさんには、弊社の「楽楽 B2B」を導入していただいていますが、それ以前から、一般消費者向けのネット通販(BtoC-EC)に早くから取り組んでおられましたよね。
株式会社利他フーズ 猪本真也さん(以下・猪本):はい。弊社は 2007年より熊本県の名産品である「馬刺し」の販売を始め、2012 年に「株式会社利他フーズ」として設立された会社です。ネット通販の「食用の馬刺し・馬肉通信販売」では年間売上高、国内第1位となりました(株式会社東京商工リサーチ調べ・2020年度)。
山本:この馬刺し販売の通販サイト「熊本馬刺しドットコム」は、すごい品揃えですね。
猪本:提携牧場で丁寧に育てられた馬の肉を使用し、味だけでなく鮮度にもこだわり抜いています。おかげさまで売上は順調に伸びていたのですが、そんな中で大きな問題となってきたのが、注文者リストに「個人のお客様」と「飲食店様」が混在し始めたことでした。
山本:となると、注文してきたヤマモトさんが個人なのか、それともお店の仕入担当のヤマモトさんなのか、確認作業が必要になりますね。
猪本:はい。実際に顧客管理が煩雑になっていました。
山本:注文が入れば入るほど、作業量も増えることになりますからね。
猪本:しかも、個人のお客様なのか、飲食店様なのかが明確化されていないと、新たな注文を獲得する際に大きな障害となります。個人のお客様はご自宅用かギフト用に購入されます。他方、飲食店様は、たとえば「馬刺し」という看板メニューを作り、売上アップや競合店との差別化を……、といった目的が主になります。それぞれ、弊社の馬刺しに対するニーズは異なるのです。
山本:そうなると、サイトに掲載するバナーやメールでの文面も訴求ポイントが大きく変わってきますね。
猪本:はい。メールでお中元用のギフト商品を一斉にご案内しても、飲食店様には響きません。逆に、お店での馬刺しの売り出し方といった情報は、個人のお客様を混乱させてしまいます。
新たにBtoB専用サイトをオープン
山本:そもそも、このような問題を抱えることになった要因は何ですか?
猪本:当初は、個人のお客様向け(BtoC-EC)として立ち上げたサイトだったのですが、その後、飲食店様向け(BtoB-EC)にも販路を広げたからです。
山本:他の企業でもよく耳にするお話ですね。
猪本:販路を拡大したことで検索サイトでは上位に表示されるようになり、アクセス数も確実に増えていきました。結果、何万人という顧客リストを抱えるサイトへと成長したのですが、先ほどお話しした「混在」という問題を解決するために、もう1つ、 専用のECサイトをオープンすることにしました。
山本:膨大な数の顧客情報ですが、経理作業も大変だったのではないですか?
猪本:請求書の発行に多くの時間が取られていました。一時期、掛払い決済代行サービスの「マネーフォワードケッサイ」を導入したのですが、既存のサイトとの連携がうまくいかず、結局は紙での作業に戻しました。
山本:新規の取引の場合、与信から入金確認までを自社で行うとなると、相当時間がかかりますよね。
猪本:その点、「楽楽 B2B」で作成したBtoB-ECサイトは、簡単に「マネーフォワードケッサイ」と連携できたので、今では、注文をいただいてすぐに商品を発送できています。
月100件の新規顧客管理もスムーズに
山本:BtoB-ECサイトの作成にあたり、懸念されたことはありますか?
猪本:せっかく立ち上げても、お客様のご利用がなければ意味がありません。お取引先の飲食店様には、既存サイトから新しいサイト「業務用馬刺し専門店利他フーズ」に移っていただく必要がありました。
山本:具体的な施策はとられたのですか?
猪本:まず、新しいサイトを利用することで得られるメリットをお伝えしました。掛払い決済、希少部位などの限定販売、ポスターやのぼりといった販促ツールデ ータの無料提供。そして、クーポンの割引率をBtoCサイトよりも上げる、などです。
山本:一大キャンペーンを展開されたわけですね。
猪本:はい、まさに全社を挙げてBtoB-ECサイトへの誘導に奔走しました。既存の「熊本馬刺しドットコム」のあらゆるページにリンクのバナーを貼り、FAX や電話でもご案内しました。こうした努力が実を結び、今では注文の5割ほどはBtoB-ECサイトをご利用いただいています。
山本:どんなプロジェクトも最初が一番大変ですからね。FAX やメールからWebへとお客様を移行する際も、同じような施策をされる企業が多いです。
猪本:その後は、広告を打つにしても、個人のお客様向けと飲食店様向けとでクリエイティブを差別化し、月に100 件ほどのペースで新規の注文をいただいています。
山本:ちなみに、BtoB-ECサイトの構築にあたり、もっとも苦労した点は何でしたか?
猪本:強いて挙げるなら、過去の取引情報を「楽楽 B2B」に移行する作業でしょうか。ただ、いったんデータを移行してしまえば、その後は問題なく、日常の業務はかなり楽になりました。「マネーフォワードケッサイ」とも自動連携をしていたので、想定以上の業務効率化が進んでいます。
営業DX推進でココが変わった!
■顧客情報の混在化をBtoB-ECサイトで解消
■ 顧客をセグメント化した広告運用で多数の新規顧客を獲得
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株式会社ネットショップ支援室 代表・山本 皓一朗氏と株式会社FLUED 代表・松永の共著『業務効率化からはじめるBtoB営業DX』が2022年6月19日に発売されました。
明日からでも始められる営業DXのヒントが詰まった1冊となっておりますので、営業DXを進める第一歩として、お手に取っていただければ幸いです。