「ホワイトペーパーの導入事例の書き方が知りたい」
「CTAに導入事例を設置したい」
マーケティング施策を実行する中で、上記のような戦略を検討する担当者もいるのではないでしょうか。
株式会社メディックスが2019年に実施した「2020年版IT製品選定者アンケート調査」によると、IT製品を選定する企業担当者は、価格や製品概要だけでなく、「導入事例」も同様に参照しているとわかりました。
また、WACULの調査結果で示された次のポイントも重要です。
事例コンテンツは最低12件が必達で30件を目指し、資料請求導線を設置すべき
引用元:SaaSを扱うB2Bサイトにおける事例紹介ページの改善策の提言|株式会社WACUL
つまり、購入を促すための施策として導入事例の公開は、有効な手段だということです。
そこで今回は、導入事例の構成や作成方法について効果を上げるコツを網羅的に解説します。見込み客に伝わる導入事例の作成方法を学び、成果につなげましょう。
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コンテンツ目次
導入事例とは
導入事例とは、自社の商品やサービスを導入した顧客の声をまとめたコンテンツです。ユースケースやスタディケースとも呼ばれ、メディアや公式ホームページ、CTAが組み込まれた広告文などに設置されます。
導入事例を読めば、類似企業がどのような課題を抱え、なぜ商品サービスを導入し、そしてどのように解決したか理解できます。
企業は自社商品やサービスを販売するにあたり、商品情報や活用方法を発信するでしょう。発信情報内にユーザーの声を加えれば、導入を検討する企業の商品購入を後押しできます。
ケーススタディに掲載されるストーリーは、主に次の4パターンです。
4種類のストーリーパターン
- 課題解決…企業が陥りがちな課題を解決したストーリー
- 乗り換え…他社サービスからの乗り換えを伝えるストーリー
- 活用事例…商品サービスの運用方法を伝えるストーリー
- エピソード…再現性が難しい独自のストーリー
4種類の中で最も使われるのは、「課題解決」です。さまざまな業種や規模の企業が抱える課題の解決にいたったストーリーを掲載すると、広く共感を得られます。成果が明確になるので、高い宣伝効果も期待できるでしょう。
また、「活用事例」も導入事例の作成でよく取り入れられるトピックです。導入後の運用をイメージしやすいため、より効果的にアピールできます。
「乗り換え」は、競合他社との差別化を図る場合に有効です。また、最後の「エピソード」では、他では見られない目を引くトピックを取り上げると良いでしょう。
導入事例の基本的な構成:サンプルテンプレート
出典:HubSpot提供資料
導入事例の基本的な構成は、次の通りです。ここでは、各項目について解説します。
- 概要
- 顧客情報
- 課題
- 導入のきっかけ
- 活用法や解決法
- 成果
なお、事例作成方法のコツに関しては、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
『事例広告・導入事例 バイブル』本から実践!書評・感想と事例作成方法のコツ
概要
まずは今回の導入事例の概要として、2~4文で要約します。要約文と合わせて、クライアントの成果を表す指標を数個掲載すると良いでしょう。
<成果を表す指標の例>
- リード数が350%増加
- カスタマーの獲得費用が45%削減
- 100%のROIを実現
実際の概要として、以下のHubSpotの導入事例をご覧ください。成果をサマライズした後、下部に成果の指標(訪問者数、リード獲得数、単価)を掲載しています。
出典:HubSpot
顧客情報
次に、顧客情報を掲載します。上記概要にも載せ、別途顧客プロフィールを紹介する欄を設けます。顧客プロフィールとして、以下の項目を含めると良いでしょう。
- 事業紹介
- 基本情報
- 取材に応じた担当者プロフィール
- 導入したサービス内容
- WebサイトやSNSのリンク
出典:HubSpot
課題
次に、導入前に抱えていた課題や悩みを載せます。できるだけ詳しくヒアリングすると、見込み客の共感を呼びやすいでしょう。
出典:HubSpot
導入のきっかけ
課題の次は、商品やサービスを導入するきっかけとなったエピソードを紹介します。知った経緯、導入決定の決め手、他社との違いを明確にすると説得力が高まるので、重要な部分だといえます。
活用法や解決法
商品やサービス導入後の活用法や、課題の解決法を詳細に記載します。また、自社からどれくらいのサポートを得られたかも重要ポイントです。
導入初期、半年後、1年後と段階を追って伝えると良いでしょう。
成果
商品サービスを運用して一定期間が過ぎた後、どのような成果が出たかも読者が知りたい項目です。
- 数値で示される実績
- 上司やカスタマーの評価
- 取引先の反応
以上のような、社内外からの反応を取り入れて作成しましょう。また、導入企業の今後の展望も合わせて記載すると効果的です。
導入事例の作成方法:準備からインタビューまで
ここまでは導入事例の構成要素を解説しました。では、実際にどのように作成すればいいのでしょうか。次の6ステップの作成方法を解説します。
- 社内でセールスポイントを整理する
- インタビューする顧客を選定する
- インタビューを申し込む
- 質問票を作成する
- インタビュー当日を迎える
- 顧客にチェック依頼し最終承認を得る
社内でセールスポイントを整理する
まずは自社のセールスポイントを整理します。
ユースケースでの訴求ポイント、自社の強み、商品サービスの特徴をまとめましょう。その際、顧客から受けた客観的な評価も合わせて整理します。
そして、自社の強みをうまく体現しているクライアント企業を見つけることが大切です。
インタビューする顧客を選定する
次に、インタビューを実施するクライアントを選定します。インタビューすべきクライアントの条件として、次のような項目があげられます。
- 商品サービスに満足している
- 商品サービスについて深い理解がある
- 導入後、成果を上げている
- 過去に作成した導入事例と被らないテーマがある
インタビューの対象条件を決定したら、営業チームやカスタマサポートチームに共有します。そして該当企業を顧客リストにまとめてもらい、その中からインタビューを打診しましょう。
インタビューを申し込む
インタビューを希望するクライアント企業が決まったら、取材依頼書を作成し申し込みます。取材依頼書に含める項目は、次の通りです。
- インタビューの用途、目的
- スケジュールの日時(複数の候補日)
- インタビューの場所やかかる時間
- インタビュー当日のスケジュール
- 掲載予定の顧客情報(会社の正式名称、ロゴ、写真など)
- 過去に掲載した導入事例のイメージ記事
- インタビューされる企業にとってのメリット など
取材依頼書にはなるべく詳細を記載し、回答期限とともに次のようなメール本文を作成して送ります。
申し込みメールの例文
〇〇株式会社
〇〇チーム 〇〇様いつもお世話になりありがとうございます。〇〇株式会社の〇〇と申します。
営業チームの〇〇より、(商品サービス名)を導入いただきリード獲得数の大幅アップという成果を上げられたと伺い、大変嬉しく思います。
この度、(商品サービス名)の導入事例を作成するにあたり、是非貴社のお声をいただきご紹介させていただきたいと思い、ご連絡致しました。
添付にて、導入事例を作成するための取材依頼書を送付致します。ご確認いただき、取材をご了承いただきたくお願い申し上げます。
お忙しいところ恐縮ですが、〇月〇日までにご回答いただければ幸いです。
ご不明な点がございましたら、お気兼ねなくお申し付けください。
何卒宜しくお願い申し上げます。
(署名)
質問票を作成する
あらかじめ質問票を作成し、顧客担当者に送付しておきましょう。質問内容を把握してもらうと、当日の進行がスムーズです。
質問票に含めるべき項目は、以下の通りです。
- 会社概要、担当者のプロフィール
- 導入前の課題
- 導入の決め手
- 解決できた課題(数値を提示)
- 導入後、社内外からの評価
- 今後の展望
当日クライアントに尋ねる質問例は、次を参考にしてください。
質問事項の例
<会社概要、担当者のプロフィール>
- 御社の概略を教えてください。
- どのような職務担当か説明してください。
- 所属するチーム、会社の目標を教えてください。
<導入前の課題>
- 導入前、どのようなプロセスで業務に取り組んでいましたか。
- そのとき、特にどのような課題に直面していましたか。
- 類似したツールを導入していましたか。それとも初めての利用ですか。
<導入の決め手>
- 弊社のツールをどこで知りましたか。
- 弊社のツールに決定した理由をいくつか教えてください。
- ツール導入における、決定基準はどのようなものでしたか。
<解決できた課題(数値を提示)>
- 導入後、コスト削減は数字で示せましたか。
- 導入後、生産性の向上は数字で示せましたか。
- 当初の課題はどのように解決されましたか。
<導入後、社内外からの評価>
- 導入後、チームメンバーやお客様、取引先はどのような反応ですか。
- 弊社ツールをほかの会社にすすめるとしたら、どのような点がおすすめですか。
<今後の展望>
- 今後数か月間の、次なるチーム目標を教えてください。
- その目標を達成するために、弊社ができることはありますか。
- あなた自身とチームの成長計画は何ですか。
インタビュー当日を迎える
インタビュー当日は、録音を忘れないようにしてください。取材内容をすべて暗記するのは不可能で、記事作成には録音データが必要です。
また、当日同席するのは、取材担当者、カメラマン、営業担当者などです。取材担当者は、話しやすい雰囲気を作り、回答内容を深掘りして情報を多く引き出すようにしましょう。
インタビュー内容にストーリー性が出るように、YES/NOで答えられる質問は避けたほうが良いでしょう。商品のアピールにつながる情報を聞き出す質問力が必要です。
顧客にチェック依頼し最終承認を得る
インタビュー記事を作成したら、クライアントに原稿を送付します。内容に問題がないか最終承認が得られるまで、公開してはいけません。
まずは文章をWordやドキュメントなどで送付し、添削してもらいます。文章が固まったら、当日撮った写真やロゴ、図表などを挿入し、最終版のチェックもしてもらいましょう。
チェックを依頼する際は、回答期限を設けスムーズに進行することが大切です。
見込み客に伝わる導入事例を作成するためのポイント
ユースケースは、見込み客が自社商品やサービスに興味を持ってもらうための資料です。そこで、見込み客に伝わる導入事例を作成するためのポイントを解説します。
大手企業の実績を出す
インタビューする企業を選定する際、大手企業の実績を掲載できないか検討しましょう。大手企業や有名ブランドのユースケースを掲載すれば、信頼性を担保できるからです。
大手企業は業界をリードする存在であるため、追随して導入を検討する企業が現れやすくなるでしょう。
テンプレート化する
導入事例を効率的に作成するには、テンプレート化が大切です。テンプレートを流用すると、作成者も作業に慣れ、スピードが上がるでしょう。
また、形式を「ポイントをまとめる記事形式」か「取材担当者と顧客との会話形式」のどちらかで統一します。端的に内容を伝えたいなら記事形式、より共感を呼びたいなら会話形式を採用すると良いでしょう。
固有名詞の誤字脱字に注意する
社名や顧客担当者、部署名など固有名詞の表記ミスは許されません。一次情報を調べ、クライアントへ資料を提出する前に校正チェックを入れましょう。
固有名詞のミスは、信用を失いかねない大きな間違いです。誤字脱字に注意して正しい表記を心がけましょう。
わかりやすい日本語で執筆する
インタビュー内容を文字起こししても、そのまま事例として掲載できるとは限りません。担当者の口癖をわかりやすい日本語に言い直すことが大切です。
専門用語も平易な言葉に言い換えるか、注釈をつけるなどして、読者の気持ちに寄り添った記事作りをしましょう。
インタビューで数字を聞き出す
導入事例の読者が最も知りたい情報の1つが、どれくらい成果が上げられたか、という点です。ツール導入のメリットを明確に伝えるためにも、インタビューで具体的な数字を聞き出しましょう。
しかし、企業担当者もいきなり尋ねられても即答できないかもしれません。したがって事前に質問票を送り、どのような数字が聞きたいか伝えておくことが重要です。
マイナス要素もあえて入れる
ユースケースを作成するにあたり、あえてマイナス要素を入れるのも1つの手法です。「初めは本当に効果があるのか不安だった」「導入したばかりの頃は使い方がわからず、チームメンバーに戸惑いがあった」など、顧客の正直な声を含めましょう。
マイナスな発言を掲載すると、記事の信ぴょう性が高まることがあります。プラスの内容ばかり伝えても、逆に怪しまれることもあるからです。
マイナス要素がどのようにプラスに変わっていったかも加えると、ストーリー性のある事例となるでしょう。
写真やイラストを入れる
ストーリーに関連した写真やイラストを挿入しましょう。視覚的にも訴えることで、読みやすくなります。
インタビュー当日の企業担当者が話している様子、実際にツールを使っている様子などを写真に撮ると良いでしょう。また、顧客企業の業績推移をイラストやグラフで示すなどして、導入後の成果をビジュアルで示すのも効果的です。
導入事例の活用例
導入事例の作成後、どのように活用すればいいか解説します。
CTAに設置
CTA(Call To Action)のための資料内に導入事例を設置します。CTAとは「行動喚起」と日本語で訳され、コンバージョン率を向上させるための施策です。
LPなどに表示される「資料を請求する」「問い合わせをする」といったボタンもCTAの1つで、ここに「導入事例をダウンロードする」のCTAボタンを作成します。すると、LPを訪れたユーザーにアクションを促せ、リード情報を獲得できます。
メディアで公開
メディアに「導入事例」というページを設け、作成した導入事例を公開します。上記のCTAはPDF資料をダウンロードしたユーザーのみが閲覧できますが、メディアで公開すれば誰でも閲覧可能です。
ネットで情報収集をしているユーザーにとっては、有益な情報を手軽に収集でき、信頼関係づくりに役立ちます。
営業資料として配布
営業担当者が見込み客先に訪問する際、営業資料として導入事例を提示できます。
見込み客と類似した業種や規模、課題のある導入事例を印刷して持っていくと、ツール導入を自分事として捉えてもらいやすくなります。また、競合他社も導入していることがわかれば、購買意欲を高められるでしょう。
そのためにも、多種多様な企業に依頼し、できるだけ多くの導入事例を作成することが大切です。
BtoB導入事例の作成方法ならぜひご相談ください
導入事例の作成は、テンプレート化による効率化が可能です。まずは自社の強みを整理し、クライアントリストを抽出してインタビューを依頼しましょう。
BtoBのユースケース作成でお困りなら、ぜひ私たち株式会社FLUEDにご相談ください。事業の特徴や強みを伝えられる導入事例の作成方法や、営業活動で必要なアドバイスを提供いたします。
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