コンテンツ目次
BtoB ECの市場規模と商習慣にあわせた特徴
まず、BtoB ECの市場規模はどうなっているのでしょうか。右肩上がりに拡大しているEC化の実態を、経済産業省「電子商取引に関する市場調査」のデータを参考に見ていきます。
出典:経済産業省「令和元年度 電子商取引に関する市場調査」BtoB ECの市場規模は、BtoCの約20倍
上記図表の通り、2019年のBtoB EC市場規模は、352兆9,620億円と、前年比2.5%増となっています。EC化率は前年から1.5ポイント増の31.7%です。
同年のBtoC EC市場規模は19兆3,609億円(前年比7.65%増)で、EC化率は6.76%(対前年比0.54ポイント増)でした。
BtoB ECの市場規模は、BtoCの約20倍だと分かります。EC化率も右肩上がりを続けているため、成長傾向にあると言えます。
BtoBならではの商習慣にあわせた、ECの特徴
ECというと小売事業者が販路として使用するイメージがあるかもしれませんが、BtoB取引においては、取引先との受発注を効率化させるために活用されています。現状、FAXで受発注を行ったり、請求書発行したりする企業も多いですが、BtoB EC化を進めればこれらの作業は不要になります。
BtoB取引では、BtoB特有の商習慣があるため、そのルールに合ったECである必要があります。具体的には、以下のような商習慣があります。
販路・取引先の管理
BtoCとは違って、BtoBでは卸価格の出し分けや、取引先への商品公開範囲の設定など、販路や取引先を管理する必要があります。
例えば、新規取引先には、正規の価格で商品が少なく表示され、既存取引先には、特別価格で全商品が表示される、といった具合です。
販売価格の管理
BtoB取引において、販売価格の管理は重要です。先程ご紹介したとおり、同じ商品であっても取引実績や条件によって、販売価格を設定・変更することがあります。
例えば、新規取引先であれば通常価格ですが、通常の取引先であれば7割の価格、お得意様であれば5割の価格といったように、販売することもあるのです。
決済方法の管理
販路や販売価格だけではなく、決済方法も取引先によって調整することがあります。取引実績の少ない新規取引先であれば、銀行振込による前払い、未回収リスクの少ない外部決済サービスなどを使い、取引実績のある取引先であれば売掛で受注することも。
これらの商習慣にあわせてEC化を進めることで、経理担当者の業務負荷が軽減されるはずです。
株式会社FLUEDではBtoBのマーケティングにお悩みの方へ、無料のオンライン相談会を実施しております。
数多くの企業様をご支援してきた経験からBtoBマーケティングに関する質問、疑問にお答えいたします。
BtoB ECサイトの10つの成功事例
ここからは、BtoB ECサイトの成功事例を10つ紹介します。
ファヴールマルシェ|商品企画開発
株式会社ファヴールマルシェは、医療機関向け製品を取り扱う物販事業としてスタートし、ネット販売の販路開拓・売上拡大をしてきました。現在、ドクターズコスメ・サプリメントというジャンルを確立し、自社ブランド商品の企画開発から、Webプロモーションや大手通販モールと自社ECサイトでの販売戦略を行っています。
新事業として卸取引の拡大を考えているタイミングで、人的リソースやコストをかけられないとの判断から、企業間の卸取引を「楽楽B2B」で進めようと導入。受発注取引時に便利な注文書自動読み込みや、取引先ごとに設定可能な掛け率・価格の詳細設定も利用しながら、作業時間の大幅な削減に成功しています。
参考:https://raku2bb.com/work/fav/ヘッドスプリング|美容医療クリニック
株式会社ヘッドスプリングは、美容医療クリニック、美容サロン、美容室向けのドクターズコスメを卸販売している企業です。BtoBとしてドクターにコスメの提案活動を行う中で、営業の非効率を実感し、卸のECサイトを構築し「楽楽B2B」を活用することにしました。
薬機法などの兼ね合いで、クリニックやサロンごとに販売・購入ページを作成する必要があったため、ECサイト上でそれぞれに合った新商品を見られるように設置したり、使い方レクチャー動画コンテンツを設置したりしました。他にもCRMやメルマガ機能を活用し、300%以上の売上成長を達成できています。
参考:https://raku2bb.com/work/headspring/利他フーズ|業務用食材
株式会社利他フーズは、業務用馬刺しを専門とした卸企業。「熊本馬刺しドットコム」としてBtoC・BtoB両方でサービス展開を行っていましたが、顧客体験が複雑になっていたことを受け、BtoBに特化したECサイトを立ち上げました。その際導入したのが卸受発注自動化システム「楽楽B2B」です。
BtoBならではの商品の訴求やメルマガ配信など、お客様に対する最適な体験を考えた中で、BtoB特化のECサイトをつくるだけでなく、受注処理に使っている基盤システムと「楽楽B2B」を連携させて、受発注にかかる作業効率も改善させています。
参考:https://www.yamatofinancial.jp/case/case09.htmlアルカン|西洋料理食材
株式会社アルカンは、日本における西洋料理食材を提供するパイオニア企業として、選びぬかれた才能ある生産者の食材を届けています。
売上の90%以上が電話・FAXでのオーダーだったところを「楽楽B2B」の「かんたん発注フォーム」を導入して解決しています。BtoB取引では、いつも同じ商品を繰り返し注文する顧客が多いため、繰り返しの発注が楽になるようなシステムを導入することで、顧客側の負担軽減をしながら、売り手側の業務効率化も図ることができています。
参考記事:https://raku2bb.com/work/arcane/モノタロウ|工業用間接資材
モノタロウは、事業者向けの工業用間接資材のBtoB通販企業。扱う商品は1,800万点を超えており、「間接資材のAmazon」と呼ばれています。
これまで工場の現場で使われる資材は、業者に問い合わせるかカタログから注文するかのどちらか。注文する個数によって金額が変動するため、小口発注になってしまう中小企業には相対的に価格も高くなり、納品も後回しにされてしまうのが実情でした。
そこでモノタロウはBtoB EC化に乗り出し、1点からの発注、当日出荷・翌日配送を可能にしています。
アスクル|オフィス用品
アスクルは、オフィス用品をネットで簡単に購入できるサイト。既存取引先とは独自エージェント制度を実現し、エージェントが顧客開拓、債権管理、代金の回収を行い、アスクルはカタログ発送、注文受付、配送を行います。
FUJIEI toB SUPPLY(旧 BtoB にくらす)|小売店向け雑貨
FUJIEI toB SUPPLY(旧 BtoB にくらす)は、BtoBの小売店向け雑貨の卸売り・仕入れサイトです。会員制のサイトで、テーブルや椅子などの家具、洗剤、食器など生活用品を取り揃えています。
ブランドや商品ごとにページが分かれており、雑貨を簡単に揃えることができます。一般的な通販サイトと同じ要領で注文でき、銀行振込、クレジットカード決済、後払いシステム、Paidに対応しています。
ニトムズ|日用品・医療製品
ニトムズは、日用品や医療製品を、オフィスや工場、病院・クリニックなどBtoB向けに販売しているサイトです。掃除用具や衛生用品、収納用品など、日用品が多数取り扱われています。
小売店専用とオフィス・工場、病院・クリニック向けのサイトに分かれています。小売店専用サイトでは、小ロット注文や掛売りにも対応。オフィス・工場、病院・クリニック向けのサイトでは、商品の使用シーンごとに商品情報が掲載されています。
売掛決済やクレジットカード決済など決済手段を選択できます。
MiSuMi-VONA|精密機械部品
MiSuMi-VONAは、製造業の生産ラインで必要なFAや精密機械部品を、高品質・低コスト・短納期で提供。数百万点もの商品を取り扱っているBtoB通販の中でも、絞り込み検索が優れています。
フーヅフリッジ|業務用食材
フーヅフリッジは、業務用食材のネット通販です。自社内のプライベートブランドに加えて、有名食品メーカーの商品の取り扱いもあります。食材、ドリンク、業務用食材といったカテゴリーごとに検索でき、1つから購入・発送が可能です。
会員登録にあたり、通常のWebフォームだけでなく、LINEやAmazonアカウントなど他のECサイトにはない方法で登録もできます。
BtoB ECの種類
では、BtoB ECサイトの構築には、どのような種類のサービスがあるのでしょうか。
ASP型
ASPとは、Application Service Providerの略で、ブラウザの管理画面上で提供されるサービスのことを指します。独自のカスタマイズが難しいですが、手軽に安くシステム導入が可能です。
初期費用は数十万円、月額は数万円で、自社でシステム開発を行うよりも安価にECサイト構築が可能です。
クラウド型
クラウド型ECは、フルカスタマイズが可能です。システムが常に最新に保たれたまま、独自のカスタマイズに対応できます。
初期費用、月額費用がかかりますが、クラウドECはリニューアルが不要で、常に使い続けられるのがポイントです。
パッケージ型
パッケージ型は、もともとECとしての基本機能が実装済みのECシステムで、さらにカスタマイズしてECサイトを作成します。費用は数百万円〜数千万円が相場になります。
パッケージのデメリットは、ECシステムが数年で陳腐化することです。そのため、ASP型かクラウド型がよく好まれます。
BtoB ECサイトの構築におすすめなカートシステム5選
ここからは、BtoB ECサイト構築におすすめなカートシステムをご紹介します。
楽楽B2B(ネットショップ支援室)
楽楽B2Bは、面倒な卸取引注文処理、卸先ごとの掛け率計算をすべて解決するシステムです。ロット単位での割引を加味した設定にも対応できる他、情報自体を非表示にする「クローズドサイト」、カタログ販売のようなある程度情報を公開できる「セミクローズドサイト」にも対応できます。
Shopify
Shopifyは、ビジネスの立ち上げから運営、成長に必要なEC機能とPOS機能を提供するプラットフォーム。世界175ヶ国で、1,000,000のビジネスがShopifyを活用し、流通総額は$2000億米ドルを超えています。14日間の無料体験つきで、本格ネットショップを簡単に構築できます。
Bカート
Bカートは、BtoBの受発注業務をEC化するクラウドサービス。人為的ミスを削減し、属人化の解消、作業時間の短縮を実現します。BtoBに特化したSaaSだからこそ、複雑なカスタマイズは不要で、月額9,800円〜、最短3日でスモールスタートできます。すでに800社以上が導入しており、発注企業は300,000社にも上ります。
アラジンEC
アラジンECは、5000社以上の豊富なBtoBノウハウで、最適なBtoB EC・Web受発注システムをカスタマイズできます。業種や業界に合わせたカスタマイズが可能で、柔軟性の高さを求める企業におすすめです。
EC-Rider B2B
EC-Rider B2Bは、BtoB向けのECサイト構築パッケージシステム。卸売りや仕入れ管理、卸売りサイトの開設、複数の工場・倉庫、メーカー直送の商品の在庫管理、自動的にデータ化して取り込むFAX OCR機能など、多機能なECシステムです。ASP型とパッケージ型の2種類があります。
BtoB EC化のメリット・デメリット
BtoB EC化のメリット・デメリットは何でしょうか。ここでは簡単にご紹介します。
メリット:業務効率化、人件費削減、利益率向上
メリットは大きく分けて3つ。業務効率化、人件費削減、利益率向上です。
まず、BtoB ECを利用して販売や管理をWeb上で行うことで、行動をデータ化することができます。他システムとの連携もできるようになるため、データ入力の手間がいらず作業効率が高まるでしょう。
これにより、営業や販売などにかかるコストを大幅に削減可能。これまでFAXや電話で行っていた受発注作業が軽減されます。コストを抑えられるようになる分、利益率向上を目指すことができます。
デメリット:導入費用、顧客サポートが必要
一方、デメリットは2つ。システム導入に費用がかかること、顧客サポートが必要になることです。
BtoB取引のECサイトを構築するメリットは多いものの、商品情報の登録、決済フローの構築など、設定やシーンを具体的に検討して構築する必要があります。商品数などが多いと、その分だけECサイト構築費用も高くなります。
また、ECサイトに移行すると顧客サポートが必要です。これまで電話やFAXで対応していた取引がWeb上になるので、マニュアルを作成するなどしてサポートすることが大切です。
スムーズにEC化を進めるためにも、導入前に業務フローの把握整理をきちんと行うこと、開始後のサポート体制をつくることを意識してみてください。
BtoBの成長の鍵は「EC化」
BtoB EC化は大きく進んでいます。その中でも、成功事例を紹介してきました。具体的にどんなことをやっているのか、理解できれば自社でも取り入れやすくなるでしょう。
もし受発注書や請求書の山に囲まれて、仕事が効率よく進められない状態が続くようであれば、EC化を検討してみてくださいね。
取引データが蓄積されれば、データを活用した営業戦略の検討にも繋げられる可能性もあります。これまで電話・メール・FAXなどで行っていたやりとりをなくし、より効率的に企業経営、営業販売活動を行っていきましょう。
株式会社FLUEDではBtoBのマーケティングにお悩みの方へ、無料のオンライン相談会を実施しております。
数多くの企業様をご支援してきた経験からBtoBマーケティングに関する質問、疑問にお答えいたします。