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ABMターゲットリストの作り方は?ICP定義からリスト化、ツール活用まで徹底解説

2025.09.01

2025.09.02

BtoBマーケティング

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、特定の企業に焦点を絞り、戦略的にアプローチするBtoBマーケティングの手法です。ABM施策の成否を大きく左右するのが、「ターゲットリスト(ABMリスト)」の精度です。

本記事では、ABMリストを作成するために必要な考え方や具体的なステップを紹介します。活用できる外部ツールや運用時の注意点についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

簡単に言うと「この製品のターゲットは売上高100億円以上の製造業」「このサービスは小売業TOP500社がターゲット」といった定義をするのがABMです。今回は、そのターゲットリストの作成方法を詳しく解説します。

ABMターゲットリストとは?

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは、特定の企業に焦点を当てて営業やマーケティングをする手法のことです。見込み顧客全体を対象にするのではなく、あらかじめ定めた重要な企業に対して、パーソナライズされた情報提供や提案をします。

ターゲットが明確で、少数の企業と深い関係を築きたい場合に特に効果的な方法です。ABM施策を実施する上で最も重要なのが「ABMターゲットリスト(ターゲットアカウントリスト)」です。

自社が優先的にアプローチすべき企業を戦略的にリストアップしたもので、ABMの起点かつ成否を左右します。ABMリストをもとにマーケティングや営業活動を設計するため、対象企業を慎重に選定する必要があります。

また、企業を選定した上で部署直通の番号や担当者の連絡先といった詳細情報も取得しておくのもポイントです。より精度の高いリストとなり、効果的なアプローチにつながります。

なお、ABMの基本的な考え方や導入メリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。

>>ABM戦略とは?メリットやおすすめのツールも紹介!

ABMは非常に有効な手法ではありますが、すべての企業に適しているとは限りません。ABMの実施を検討する際は、自社の成長フェーズや組織体制との相性を見極めることが大切です。詳しくは以下の記事をご確認ください!

>>ABM(アカウントベースドマーケティング)が向く企業・向かない企業

ABMリストの作成方法

ABMターゲットリストを作成する手順は、以下の通りです。

  1. ICP(理想的な顧客像)の定義
  2. 条件に合致する企業の抽出(データベース等を活用)
  3. 優先順位の設定(スコアリング)
  4. 営業・マーケ施策への活用(MA/SFA/広告など)
  5. 定期的な見直し・更新

上記のステップに沿って進めると、精度の高いABMリストを作成できます。

1. ICP(理想的な顧客像)の定義

ABMターゲットリスト作成にあたり、まず明確にすべきなのが「ICP(Ideal Customer Profile)」です。ICPは、自社にとっての理想的な顧客像のことを指します。

ICPは単なる社名のリストではなく、自社サービスと相性が良く、高いLTV(顧客生涯価値)が期待できる企業の条件を定義するものです。

例えば、福利厚生代行サービスをメイン商材とした場合、ICPの作成例は以下のようになります。

分類条件例
業種人材、教育、小売など、従業員の定着・エンゲージメントが売上に直結する業界
従業員規模300名以上(制度導入のインパクトが大きく、投資判断がしやすい)
部門・部署総務人事・福利厚生担当部門や経営企画など
売上規模年商50億円以上(予算の余力がある)
拠点数全国に複数拠点を展開している(スケールメリットが出る)
課題意識人材定着や社内コミュニケーション、インナーブランディングに課題を感じている
導入体制人事部長や経営層が意思決定に関与する体制
行動特性・自社セミナーに参加している
・資料DLなどで接点あり
・採用/コーポレートサイトで「人材」「働き方」「組織文化」に触れている

ICPの作成にあたっては、以下のポイントを押さえましょう。

ポイント内容
業種・売上・従業員規模などの定量データ自社サービスと相性が良い業界や、実績の多い規模を把握する・従業員数1,000名以上・人材業界
社内体制・導入決裁プロセス意思決定者や導入推進者の有無、導入までの社内プロセスのスムーズさを確認する・過去に類似ソリューションの導入実績がある
・100万円以下の案件は担当者決裁が可能
中長期的な関係構築のしやすさ一度の導入で終わらず、継続利用
・部門横断展開
・アップセルの可能性があるかを見極める
・他部門への展開意向がある
・定期的に追加施策やオプション導入の相談がある

業種や売上規模、従業員規模といった「定量的なデータ」をもとに、既存顧客の傾向を分析することが大切です。あわせて、導入までの意思決定プロセスや決裁者の有無といった「社内体制」も確認し、スムーズな商談進行が見込めるかを見極めます。

また「中長期的な関係構築の可能性」も重要です。一度の導入で終わるのではなく、アップセルが可能かどうかも、良質なターゲット企業か否かの判断基準となります。

ICPは、ABM施策の土台となる重要な要素です。条件が曖昧なままスタートしてしまうと、その後の施策全体の精度にも影響が出るため、初期段階で時間をかけて丁寧に作り込みましょう。

2.条件に合致する企業と部署の抽出

定義したICPをもとに、条件に合致する企業および部署をデータベースや公開情報から抽出します。「FINDFOLIO」や「Musubu」などの企業データベースを使えば、業種や規模などの条件で効率よく絞り込みができます。

自社ウェビナーの参加者や、資料ダウンロードの履歴なども有力な情報源です。ほかにも、採用サイトやnoteでの発信内容から、企業の課題感や価値観などの定性情報を把握するのもおすすめです。

3.優先順位の設定(スコアリング)

抽出した企業に優先順位をつけ、アプローチの順番を決めます。以下のような観点でスコアリングをするのがおすすめです。

  • ICPとの類似度(業種・規模・課題一致度など)
  • 自社との接点(セミナー参加、資料DL、名刺交換など)
  • 社内体制(経営層が関与しているか、推進担当が明確か)
  • 営業工数の見積もり

数値化・可視化できる項目を元に「スコア」を算出し、上位企業から順にアプローチを進めましょう。

4.営業・マーケ施策への活用(DM施策/MA/SFA/広告など)

作成したABMターゲットリストは、以下のような場面で活用できます。

活用場面施策例
テレマーケティング部署直通の番号に架電し、決裁者や担当者へ直接アプローチ
セールスレター部署ごとの課題感に合わせた内容で手紙を送付
メールマーケティング(MAツール)One to Oneのパーソナライズド配信(一人ひとりに最適化した個別配信)
SFAツールでの営業管理進捗管理・フェーズ別アプローチ設計
広告配信アカウントベースド広告(LinkedIn広告など)
インサイドセールス活動電話やメールによるナーチャリング

ABMリストは作って終わりではなく、営業・マーケティングの実働と連動させてこそ価値が最大化されます。すぐに受注に至らなかった企業も、状況変化に応じた再アプローチによって成果につながる場合があるため、継続的な活用が重要です。

5.定期的な見直し・更新

ABMリストとICPは、四半期〜半期に一度は見直しましょう。施策の成果や受注状況を振り返ることで、新たなターゲット像が見えてくる場合があります。

最初は「従業員300名以上の企業」をICPとしていましたが「100名以下の企業」の方が受注率が高かったとわかる場合もあります。このような気づきをもとに、ICPやリスト条件を見直し、次回以降のターゲティングに反映することが重要です。

ICPは「どんな企業を狙うか」という考え方、ターゲットリストはその条件に合致した具体的な企業群です。役割を切り分けて運用することが、ABMの成功ポイントです。

ABMリスト作成時に活用できる外部ツール・企業データベース

ABMターゲットリストを効率的に作成するには、外部の企業データベースや支援ツールを活用するのが効果的です。業種・企業規模・所在地・課題傾向など、さまざまな条件で絞り込むことで、精度の高いターゲティングができます。

以下は、ABM施策に役立つ代表的なツールの一覧です。導入のしやすさやデータの網羅性、特化分野などが異なるため、自社の目的に合わせて選ぶことが重要です。

サービス名特徴部署データ
uSonar国内最大級820万拠点の法人データベース有り
スピーダ豊富な企業や経済の情報を提供無し
FINDFOLIO初期費用無料で月5万円〜と始めやすい有り
SalesMarkerインテントセールスに特化した国内初のSaaS無し
LeadPool500万社×700万人決裁者の独自データベース無し
SalesNow544万社以上の膨大な企業データを網羅。操作性も魅力無し
NBS独自のタグ付け機能が便利有り
Infobox市場調査から決裁権者へのアプローチまで、一気通貫で支援無し
ZOOMINFO海外企業に強い。3億件超の外国企業やキーパーソンのデータベース無し
DemandbaseABM特化のデータ活用プラットフォーム無し
StoreleadsECサイト特化のデータベース無し
Reply io安価で始められるマルチチャネル営業自動化ツール無し

各サービスの比較や選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。

>>おすすめの企業・法人データベースプラットフォーム12選|料金や比較ポイントを解説

今すぐ始めるなら「FINDFOLIO」がおすすめです!初期費用ゼロ&月額5万円〜という手軽さで、ABM施策をすぐにスタートできます。

ABMターゲットリストの作成がABM施策において重要な理由

なぜABMターゲットリストの作成が重要なのか、以下の3つの観点から解説します。

  • 施策全体の精度を左右するため
  • 顧客獲得だけでなく「LTVの最大化」にも直結するため
  • リソース配分の最適化ができるため

それぞれ詳しく見ていきましょう。

施策全体の精度を左右するため

ABMは、特定の企業にフォーカスして戦略を設計するマーケティング手法です。初期のターゲット設定がずれていると、コンテンツや提案内容、営業トークまでもが的外れになってしまいます。

せっかく営業・マーケリソースをかけても「そもそも狙うべき企業ではなかった」というズレがあると、成果にはつながりません。リストの精度が、そのまま施策全体に反映されます

顧客獲得だけでなく「LTVの最大化」にも直結するため

ABMの目的は、単発の受注を増やすことではなく、顧客と継続的な関係を築き、LTV(顧客生涯価値)を最大化することにあります。

そのため、売れるかどうかだけでなく「長期的に関係を深められるか」を見極めたターゲット設定が重要です。リストの精度が低いと、たとえ受注しても早期解約されたり、アップセルにつながらなかったりと、結果的にLTVが低くなってしまいます。

リソース配分の最適化ができるため

ABMは、企業ごとのニーズに応じて個別対応をするため、通常のマーケティング施策よりも工数やコストがかかります。やみくもに多くの企業へアプローチするのではなく、優先度の高い企業に絞って「選択と集中」する方が効率的です。

ターゲットリストの精度が高ければ、限られたリソースでも効率よく成果につながります。

ABMでは「何をするか」よりも「誰に対してやるか」が重要です。だからこそ、ABMターゲットリストの質にとことんこだわりましょう。

ABMリスト作成時の注意点

ABMリストを作成・運用するうえで押さえておきたい注意点は、以下の3つです。

  • 情報の最新性を確認する
  • ICPにこだわりすぎない柔軟性を持つ
  • 定期的な見直しをする

このポイントを抑えないと、ターゲット精度が落ち、機会損失が増えてしまいます

情報の最新性を確認する

リスト作成にあたって企業データベースを使う場合には、情報の最終更新タイミングを確認することが大切です。連絡先や組織体制などは頻繁に変わるため、古い情報をもとにアプローチしてしまうと、無駄な工数が発生しかねません。

使用するデータベースがどのような情報源を使い、どのくらいの頻度でメンテナンスされているかを把握しましょう。

また、可能であれば複数のデータベースを組み合わせて裏付けを取ることで、より信頼性の高いリストを作成できます。

ICPにこだわりすぎない柔軟性を持つ

ICPの定義はABMリストの基盤になりますが、条件を厳しく設定しすぎると対象企業が極端に少なくなってしまいます。完璧なターゲット像を追求するあまり、実行可能なリストが作れないという事態は避けましょう

施策の規模や営業体制とのバランスを見ながら、柔軟に条件を見直すことが重要です。実際の成果を踏まえて「意外とこのタイプも刺さる」といった気づきを反映できる運用が理想です。

定期的な見直しをする

ABMリストは一度作れば終わりではなく、常に更新していく前提で運用することが重要です。市場環境や企業の状態、組織構造は変化していきます。

変化に対応しないまま古いリストを使い続けると、効果が出づらくなるだけでなく、機会損失にもつながります。四半期〜半期ごとにリストを見直し、現状とずれていないかをチェックし、施策全体の質を維持しましょう。

リストは作って終わりではなく「使いながら育てる」ものです。最初から完璧なリストを作る必要はありません。運用しながら見直し、改善を重ねていくことで、精度の高いABMリストができます。

精度の高いABMリストを作成して、効果的な営業をしよう

ABMリストは、単なる企業の一覧ではなく、ICPという戦略的な条件定義に基づいて作成された「実践的なアプローチ対象」です。誰に対して施策を実行するのかが明確になることで、営業やマーケティングの方向性が定まり、成果につながりやすくなります。

正しいプロセスに沿ってリストを作成し、適切なツールを活用すれば、LTVの高い顧客を獲得できるだけでなく、受注確度の向上も期待できます。

ABMリストの精度を高めるためには「質の高い情報」を持っておくことが欠かせません。企業情報を効率的かつ網羅的に集めるなら、導入しやすく使いやすい FINDFOLIO の活用がおすすめです。

精度の高いリストを手に入れて、ABM施策をさらに効果的に進めましょう。


松永創

FLUED CEO / 代表取締役 Hubspotシニアスペシャリスト

B2Bマーケティングエージェンシーでベンチャー企業から大手IT企業、製造業など様々なマーケティングに携わる。 HubSpotゴールドパートナーとしても認定され、サポート実績多数。WEBを中心としたオンライン施策から、インサイドセールスや展示会といったオフライン施策まで幅広く支援している。携わった企業/プロジェクトの数は500以上に及び、スピード感あふれるコンサルティングには定評がある。 B2Bマーケティング/営業DXなどのテーマを中心になど講演多數。