BtoB営業の生産性向上トークセッション Vol.2 ~急成長3社の営業企画担当が本音トーク~
松永:今回は前回大好評をいただいたトークセッションイベント「BtoB 営業生産性向上トークセッション」の2回目を開催させていただきます。ぜひ気軽に飲みながら楽しく聞いていただければと思います。本日は“急成長!!!笑”している注目3社のご担当者4名に来ていただいておりますので、掘り下げてお話をお伺いしていきます。最近では、メール配信ツール、法人リスト、営業管理ツールなどがありますが、皆様がどのようなツールを使い、どのような取り組みをしているのか詳しく聞いていきたいと思います。では、自己紹介をお願いいたします!
久野:株式会社ニューレボの久野と申します。在庫管理システム『ロジクラ』というサービスを行っております。ターゲットはEC事業者様で、発送や物流業務であるバックヤードをどう改善するのか、というビジネスモデルで運営しております。私がインサイドセールス、オンラインセールスを担当しておりまして、立ち上げからずっと携わっておりますので、皆様により良い情報をお伝えできればと思っております。よろしくお願いいたします。
宮坂:株式会社ラクスの宮坂と申します。全国7,000社に導入いただいている『配配メール』の企画・マーケティングを担当しており、オフラインのイベント、展示会の企画・運営、集客のためのメールマーケティングを行っております。本日はセールスに強いメンバーを連れてきておりますので、当部署のインサイドセールスについてもお伝えできればと思います。本日はよろしくお願いいたします。
小川:株式会社ラクスの小川と申します。大阪から転勤してきました。もともと関西の方では今CMをさせていただいている『楽楽精算』の代理店営業をしておりました。2年前に東京に来まして、そこからインサイドセールスを担当しまして、今年の10月からはリーダーとして立ち上げにも携わっております。立ち上げ期の苦労を乗り越えてきましたので、そのあたりもお話いたします。
野中:Baseconnect株式会社の野中と申します。弊社は100万社以上の法人データベースを「MUSUBU」というサービス名で提供しており、2万社以上の企業様に導入いただいております。2年前にBaseconnectにジョインし、そのときは僕を含めて2名でインサイドセールスとカスタマーサクセスを立ち上げました。本日は立ち上げの泥臭いとところから、拡大する際の悩みなどもお話させていただきます。
松永:今日司会をさせていただく、株式会社FLUEDの松永と申します。弊社はBtoB専門のマーケティングを支援するコンサルタントと、MA運用やインサイドセールス代行サービスを提供しています。数多くのBtoB企業に携わっているので普遍的な話や事例などをベースに、3社の手法について掘り下げて行きたいと思います。
Q.インサイドセールスの立ち上げ期に苦労したことは?
松永:本日はSLI.doで気軽に会場内からの質問を承っているのですが、続々と質問が来ていますね。「インサイドセールスの立ち上げ期に苦労したことは?」という質問が多いですね。早速ですが、小川さんエピソードを教えていただけますか?
小川:『配配メール』のインサイドセールスの立ち上げを行った当時は、3人でスタートしました。一番大変だったのはマニュアル化ですね。こういうお客様にはこのように対応するなど、ルールを整備するのが大変でした。あとは、メンバーへの声掛けを含めたコミュニケーション、モチベーション管理がとても大事でしたね。
松永:モチベーションの管理にも気遣われていたんですね。野中さんはいかがでしょうか?
野中:私が立ち上げたときも社員が2名しかおらず、あとの6名はインターンとアルバイトで構成されていました。私もモチベーションの管理は最初とても大変でしたね。インサイドセールスは、どうしてもコンサルタントのような提案力が必要になってきますので、勉強会を行ったり、お互いに指摘し合える雰囲気をつくったり、コールの内容を可視化できるシステムを入れることにより、管理だけでなくモチベーションの維持をしやすくしていました。
Q.そもそもインサイドセールスとは何でしょうか?
松永:「そもそもインサイドセールスとは何でしょうか?」というご質問が届きましたので、テレアポとの違いも含めてお話いたします。僕自身も昔コールセンターの現場で働いていたことがあるのですが、テレアポとはリストを上からずっと電話していくものですね。一方、インサイドセールスとは、ツールを使いこなしながら、お客様がほしいタイミングでリーチをして見込度を上げる、販売をしていくセールス方法です。
Q.どのようなツールを、どのように使っていますか?
松永:前回のトークセッションで、「どのようなツールを使っているのですか?」という質問を結構いただきましたので、本日は可視化できるよう、3社様の使用ツールをスライドにまとめてきましたので、ぜひご覧ください。昨日この表をまとめていて、この表だけで2〜3時間トークできそうだなと思いました(笑)あ、写真撮られてる方たくさんいますね、ありがとうございます(笑)。
一番左が「まず知っていただく」ことを目的としたツールです。WEBマーケティング、リードをつくる段階、ターゲティングをするためのツールですね。
その次が、ナーチャリングとも呼ばれますが、「商談化していくこと」を目的としたツールです。メール配信、マーケティングオートメーション、CRMを行います。次に、「案件化をしていくこと」を目的としたコミュニケーションツール、SFA、営業管理、案件管理というツールがあります。
最後に、カスタマーサクセスという言葉をよく聞くと思うのですが、「サポート体制」を目的としたツール、この4つに大きく分類してみました。
早速ですが久野さんはどのように使われていますでしょうか?
久野:マーケティングについては、オーガニック、SEOに力を入れています。しかし、外部からも取らなければいけませんので『MUSUBU』を使いリストアップをして架電を行い、メールでメルマガを流し、EC・物流業界にも課題解決セミナーを開催し、リードを獲得しています。
獲得したリードは『Call Connect(CTI)』を使ってひたすらコールをしています。お客様からヒアリングした内容を『HubSpot(MA・CRM)』に流し込み、どういう属性か、卸をやっているのか、複数持っているのか、商品の点数、どのような課題を持っているのかCRMに残していっています。
その情報をもとにマーケティングアクションの自動化を組んでいきます。『ロジクラ』を使用し、成功しているお客様のペルソナをもとに、属性がマッチングしているのか洗い出した上で、シナリオ化しています。
例えば、EC事業をやっていて、「注文いただいてから配送までのリードタイムが長いこと」が課題だったとします。そのお客様にスマートフォンで業務改善ができることを提案し、ナーチャリングをして、案件化していきます。
案件化したらオンラインセールス部門に案件をパスし、『Whereby(WEB会議ツール)』を使って商談を行い、導入となればお客様をカスタマーサクセスとして導いていますね。
野中:ちなみにZENDESK、Intercom(カスタマーサクセスツール)がありますが使い分けはどのようにされているのでしょうか?
久野:intercomはサービス内に埋め込んでいて、WEBサービス上のデータをリアルタイムで集計しているんです。例えば3回以上商品を出荷した、というアクションが起こったならばチャットが開くようになっています。
zendeskはLPの中に埋め込んでそこから問い合わせをいただいています。intercomはリアルタイム性重視、zendeskはお問い合わせベースですね。
松永:今『ロジクラ』さんのページを見ているのですが、基本的にはSEOで入ってきた方たちが「無料で始める」というところをクリックし、情報を登録すると、右下から直接コンタクトが取れるようになるんですね。ありがとうございます。宮坂さんはいかがでしょうか。
宮坂:ラクスからは、特に『配配メール』についてお答えしますね。
まず、『配配メール』のお問い合わせは、オンラインからが半数を占めています。オンラインのお問い合わせは、リスティング広告と、サービスサイトのコラム記事や、指名検索による自然流入で構成されています。『メルラボ』というメールマーケティングに関する情報を発信する自社のWEBメディアも立ち上げておりますので、このメディアの記事を見られた方、メルマガ会員登録をされている方からお問い合わせいただくことも多いですね。
広告やメディアの運営を行っておりますので、どこがお問い合わせの獲得に貢献しているかを把握するために『アドエビス(広告効果測定ツール)』を入れて間接効果の分析も行っております。
あとは、我々と同じくメール配信サービスを提供されている競合様が200社以上いらっしゃいますので、我々も負けじと、『Keywordmap(競合調査ツール)』を使って、競合様の分析を行い、広告施策に活かしています。
松永:ぶっちゃけ…オンライン経由では、月どれくらいのお問い合わせが来るのですか?(笑)
宮坂:全国で月約300件ほど、お問い合わせが来ていますね(笑)。
松永:300件!すごい!!
宮坂:お問い合わせが来れば、あとは営業が動くのですが、その前に『FORCAS(ABMツール)』を入れていますので、どんな業界か、どのような企業様かあたりをつけてアプローチしています。
その後、『楽楽販売(SFA)』に案件を登録し、営業がお客様とどんな話をしたのか、などを蓄積していきます。これが弊社のCRM兼 販売管理システムになっていますね。
商談では『bellFace(WEB会議ツール)』を使い、メールについては営業が個々アドレスを持っていないため、全社共有で『メールディーラー(メール共有・管理ツール)』を使用しています。
松永:なるほど、共通メールなんですね。全社でメールを共有するメリットはありますか?
宮坂:誰かが病欠、有休を取っていても、それまでのやり取りを全員が閲覧できるようになっていますので、誰でも対応できる点ですね。あとは不正を防ぐ役割もあります。
松永:逆に困ることはないですか?(笑)
宮坂:外部からの営業のメールを当社もいただくことがあるのですが、宛名が入っていないと誰宛てかわからず、すぐゴミ箱に入れちゃう、ということが起きています(笑)。
松永:なるほど(笑)。商談は『bellFace』でやられているのですね。
宮坂:そうなんです。できるだけオンラインで行った方が、コストも削減できスムーズ、且つ商談履歴も残るので便利ですね。フィードバックもかなりしやすくなっています。
商談を行い、今すぐ導入に至らなかったお客様や競合に流れてしまったお客様に対しては、『配配メール』を使って、こんな『メルラボ』の記事ができましたよ、などの情報提供をしております。
松永:お、メールの話が出てきましたね!宮坂さんはメールマーケティングの先生と呼ばれていますが、先生、最近のトレンドを教えていただけますか?(笑)
宮坂:件名でいいますと、シンプルで簡潔な方が開封されやすいのがわかってきました。『AIアナリスト』というツールを出しているWACULさんとメールマーケティングについて共同研究をしておりまして、一部の『配配メール』ユーザー様のご協力のもと、過去数ヶ月分のメールの件名・本文と開封率やクリック率の相関を見てみました。
そこでわかったのが、件名の文字数は30文字と55文字に開封率がガクッと落ちる分岐点があるようでした。なので、件名は30文字に収まるように作っていただくと、“長さ”で開封率を下げずに済むかと思います。
あとは、この30文字の中に大事なワードが入っていないとダメです。今日のイベントであれば、営業や企画の方、営業の生産性を上げたいと思っている方に来ていただきたいので、コンテンツに関わる単語は必ず件名に含めるようにします。
例えば、よくあるダメな例なのですが、イベントの開催日をスミカッコで囲んで件名の最初に入れる方、多いと思います。「【12/12開催】」みたいな感じですね。しかし、12月12日空いているから…とイベントを探す方は少ないのではないでしょうか。
読者側からすると日付は内容に興味を持った後で確認する要素なので、これを1番目に持ってくるのはもったいないですね。
松永:確かに!(笑)日付を推したいのは、僕らだけですもんね(笑)。
宮坂:さらにスミカッコは、半角4文字、全角2文字も使用するので幅もとるんですよね。
YahooやLINEのニュース記事のタイトルは13.5文字、人がパッと見て判読できる文字数に収まるように作られていますが、これを参考に半角スペースをうまく使っていただくと良いかと思います。本文についても、画像などを使用し短くわかりやくまとめていただくのがおすすめです。
松永:おお、実践的!!!野中さんは、マーケティングでは『MUSUBU(法人データベース)』を使われているのですか?
野中:弊社はインバウンドが主体なので、どちらかというと、毎月2000件のリード情報がフリープランに入ってきます。アンケート項目を登録いただいているので、その内容は『HubSpot』へ流れ、スコアリングと呼ばれる優先順位を付け、営業が荷電していきます。
松永:『HubSpot』のご説明をさせていただくと、マーケティングオートメーション・CRMツールなのですが、お客様がWEB上でどのような動きをしているのかを分析をし、その結果をもとにスコアリングをし、見込み度の高いお客様を優先的にフォローしていくツールです。その優先順位をもとにナーチャリングをしていくということなんですね。ロジクラさんも『HubSpot』使われていますが、どのような感じですか?
久野:そうですね。お客様がサービスの登録をする際にいくつかのの質問に答えた上で登録していただきます。それにより『HubSpot』へCRM上でお客様のタグを付けていくイメージですね。その情報によりECをやっている方なのか、卸なのか、商品点数はどうか、そのような部署でどんなことをしているのか、課題は何かを把握し、トークスクリプトを使用し5分以内に電話を差し上げています。
どのような商談をしたのかは『HubSpot』のログを使い、日々履歴にしっかり残しています。オートメーションツールとしては、お客様が価格のページを見れば営業側に通知がいくようになっており、そのタイミングで営業するようセールスチームへ連携していますね。価格を見ているタイミングで電話が来るので、お客様にとっては鳥肌が立つかもしれません(笑)。
松永:本当ですね(笑)。お客様がログインをしてから、ずっと追いかけている、ということですもんね。フリープランで使っていて、そろそろ有料でもいいかも…と思い、料金プランを見ると5分以内に電話が掛かってくるんですね?(笑)
久野:そうなんです(笑)。やってみてください(笑)
松永:やってみましょう!(笑) 導入しようかな…とWEBサイトに訪れたその瞬間に商談化できるので、とても有効なツールですね。
テレアポですとタイミングわからず、ひたすらコールするだけですので非効率なのですが、このツールを使うと能力を使うのが最小限で収まりますもんね。通知設定はどのようになっていますか?
久野:通知は飛ぶのですが流れてしまう可能性もあるので、自動でタスク化するようにしています。ちなみにタスク漏れがあると、僕もめっちゃ怒られます(笑)。
一同:(笑)
松永:補足すると「5分以内』というのは大切な意味があって、海外では「5(five)ミニッツコール」と呼ばれています。5分以内が圧倒的に繋がるという研究結果があり、5分以内と5分以降で比べるとその差が7~8倍あると言われています。皆様やっていただくと良いと思います。野中さんのところでも『hubspot』使わていますよね。どのような感じですか?
野中:弊社も毎日リードの数が多いので、それに対しランク分けを、優先順位が高いところへは2~3分でお電話をしています。『hubSpot』の使い方としてはMAツールだけでなく、SFA的な使い方もしています。フェーズをしっかり分け、そこまでインサイドセールスが進んでいるのかを管理しています。
久野:僕も同じです。
Q.流入数が少ないフェーズのときに、マーケティングオートメーションツールは使えるのか?
松永:「流入数が少ないフェーズのときに、マーケティングオートメーションツールは使えるのか?」という質問が会場からが来ていますね。
MAツールは安いものであれば月額3~4万くらいものからありますので、買えば入れられないことはないんですが・・・個人的には追えるリードの数が5000くらいないと、MAツールは入れても意味がないかなと感じていていますね。
「立ち上げのときは何をすべき?」という質問も結構来ていますが、2~3年前の全然リードがきていないときは、久野さんどうされていましたか?
久野:もともと『MUSUBU』を使っており、そこでリストを作り、そこからテレアポをずっとしていました。お客様に課題を伺い、どうしたら導入していただけますか、とアプローチを続け、日々トークスクリプトの訴求を分析していました。
良いトークスクリプトがあればマーケティングにも共有していましたね。そうすることでマーケティング側もお客様に刺さる言葉がわかるので、LPにも活かすことができました。インサイドセールスの立ち上げはマーケティングもイコールであることが多々あって、実際にLPにも流入があまり来ない時期がありましたが、今は費用さえ掛ければ1日30~40件お問い合わせくるようになりましたね。
松永:最初は『MUSUBU』を使われていたんですね。
久野:そうなんです。帝国データバンクは高すぎて(笑)。手軽にリストを検索して買えるサービスはないかなと探していて、『MUSUBU』を見つけました。当初はめちゃくちゃ使い倒しましたね(笑)。
松永:(『MUSUBU』の画面を見ながら)業界を選び、地域を選んで調べていくと。売上高や従業員数って意外と出ているところがあるのですが、新卒採用人数なども出てきますので、勢いがあるのかもチェックできますね。サクッと市場調査もできますし。拠点数、店舗数だけでなく、お問い合わせフォーム、メールアドレスなどもわかるので、かなり使えますね。
Q.商談化の定義はありますか?
松永:小川さんはインサイドセールスをするときに、これくらいになったら商談化するとういう線引きはありますか?
小川:今は質より量を求められているフェーズなので、『配配メール』でお客様が抱える課題を解決できているかどうかはわかりませんが、なんらかメール配信に悩みがあり課題があるのであれば商談化させるようにしています。そこがひとつの定義ですね。
Q.お客様から課題を引き出すコツはありますか?
松永:ちょうどこのような質問も来ていますが、いかがでしょうか?
小川:お客様の業種、業態に偏りがないため、課題がさまざまです。聞くときは業種、業態によって共通言語、共通の課題として想定される言葉を引っ張り出しています。
製造業の方からのお問い合わせであれば、「眠っている名刺はありますか?」「活用できる資源はありますか?」という話から始めています。
松永:今までの情報の蓄積をもとに仮説を立てて、当てにいく感じなんですね。
小川:そうですね、当てにいくものをいかに多くできるか、ですね。
松永:当たったら楽しいですよね(笑)
小川:そうなんです(笑)。弊社が使っている『楽楽販売』という中に選択形式がありますので、業種、業態で選び、一覧で見ることができます。順位を付けて多い課題を抽出することもできます。
松永:凄腕営業マンの方ですと、その業種の課題を属人的に蓄積していて活用しますが、それをシステムでやっているということなんですね。
小川:属人的にやってしまうと皆が活用できないため、徐々にシステム化している状況ですね。
松永:なるほど。ありがとうございます。次の質問にいきましょう。
Q.エンドユーザーとコンタクトしない代理店営業で有効な手法はありますか?
松永:僕が代理店営業をされている方へコンサルティングに入るときは、どれくらい情報が整理できているか、データが蓄積されているか、というところを見るようにしています。
例えば、過去3年ぐらいでこのパートナー様はこれくらい売っている、などですね。もしデータの蓄積がない場合は調べにいき、その中から傾向を見ていきます。
自分が頑張ればエンドユーザーのところに何本でも電話ができる状態とは異なり、代理店の場合、自社以外のパートナーの方々に営業行為をやってもらわなければならないため、結構難しいことが多いですね。
その人たちが楽しく仕事ができる環境をつくることが大切で、上手くやっている会社はそういう環境・雰囲気作りが上手いですね。パートナー表彰イベントなどもその一つだと思います。
Q.営業の活動内容を共有する良いツールはありますか?
松永:野中さんはどのように共有されていますか?
野中:MAとしても使っているのですが、『hubSpot』の中に商談の履歴を残すようにしています。そのときに注意している点が2点あります。1点目は、フリーワードにしてしまうと、後々セグメント分けのときに面倒になってしまうので、選択式にし、ある程度集計しやすい状態にして設計している点です。
もう1点は『Miitel(AI解析機能つきCTI)』を使っているところですね。『Miitel』の良いところは、課題をどうやって聞き出すかに関連しているのですが、お客様が話すスピードと営業の者が話すスピードがわかるようになっています。傾聴するには同じスピードで話さなければなかなか伝わりませんし、話してもらえません。
そのような「話速」を測定できるので、セールスの方に自己の振り返りをしていただいたり指導したりするときに使っています。あとはお客様が話す割合と営業が話す割合も『Miitel』を使えばわかるようになりますので、ある程度お客様にも話していただけるような割合になるように可視化しています。
松永:(画面を表示させながら)このような感じになるんですよね。青い方が自社でしょうか?
野中:そうです。赤い方がお客様ですね。ここにトーク比率が出まして、左側に自分たちが話している比率が出ます。さらにその下に「話速」が出るので、ここが一定であればお客様も我々の話を理解しながら聞いている、というのがイメージできます。
松永:個人的には10年以上前に初めて営業をしたのですが、ちゃんと商品の説明をしなきゃと思って頑張って話したら所長にめちゃくちゃ怒られた、という経験があります(笑)。「8対2でお客様に話していただくくらいで良いんだ!」と言われたことがありますね。それを数値化できるのがとてもありがたいですね。
野中:あとは営業状況の管理という意味だと、弊社の『Musubu』にも営業管理システムを付けさせていただきました。最初から100万社以上の企業情報が入っていて、ユーザーも無制限ですので、導入に使っていただくと良いですね。
Q.MAツール/SFAを導入した際に出てくる課題、気を付けるポイントは?
松永:立ち上げからご経験のある久野さん、いかがでしょうか?
久野:テレアポからインサイドセールスになるまでは、ひたすらリストの上から荷電をしていました。1人当たり1日営業できるのは8時間しかないため、お客様が増えてくると量が多すぎて当たれなくなってしまうんです。そのリスクに対し、お客様がホットなタイミング、あるいは適切なタイミングで効率的にアプローチできないかと考えたときにオートメーションツールを導入し始めましたね。
弊社はEC向けの在庫管理ツールを提供していますので、「お客様が商品点数10件以上登録すれば通知が来る」「メールで資料送付してダウンロードがあったときに通知できる」…このようにやりたいことがたくさんあったんです。色んなシナリオがあってやりたいこと全部行うとパンクするので、優先順位を付けて検証するという点を気を付けて行っていましたね。
松永:なるほど、「仮説・やりたいことありき」ですよね。MAツールの導入相談を良く受ける身としては、久野さんのように仮説がないと、「なんとなく良さそうだからMA」というのは絶対ダメ、MAでやりたいことを明確にしてから入れましょう、というのを声を大にして言いたいですね(笑)。
久野:(表示をしながら)うちの場合は、これまで受注したユーザーのペルソナシートの情報を分析し、離脱したユーザーも分析し、それをもとにMAのシナリオを組んでいきましたね。「バイヤーズジャーニー」とも言われますが、どういうお客様が認知して検討し決定するのかをお客様ごとに作りました。それをもとにシナリオを組んでいき、当てはめていきましたね。
松永:作るのも大変でしたよね?
久野:そうですね。将来のこととか語り合いながら、代表とともに作りましたね(笑)。
松永:エモい!(笑)
松永:僕はこれくらい仮説を立ててツールを導入すべきではと思っています。よくマーケティングオートメーションツールって、入れればお客様が勝手に来るみたいな、魔法の杖みたいに思って導入宇される方が多いです。そういった方々はその後、何をやっても上手くいかないですね。ちゃんと、こんなお客様に、こんな風にアプローチしたい、だからこの機能がほしい、というタイミングで、「あくまで機能」であるツールを入れるべきだと思っています。
Q.メールのクリック率が悪いですが、良い解決方法はありますか?
松永:メールマーケと言えば宮坂さん、この質問はいかがでしょうか?
宮坂:最初に注意点をお伝えしますと、クリック率が悪い理由は2つあります。
1つ目は、お客様に到達していない、開封されていない、本文を見てもらえないという前段階がボトルネックで結果としてクリック率が悪いケースです。
2つ目は、到達はしており、開封も十分にされているのに、そこから先のクリックがされていないケースです。
どちらなのか、一般的な指標などと見比べながら確認してほしいですね。到達率を改善したらクリック率も自然と上がりました、件名を工夫したらクリック率が上がりました、など、そういうことは多々ありますので、チェックを必ずしてください。
もしクリック率が悪いという話になりましたら、クリック率は基本的にメール本文に関わる指標なので、本文の見直しが必要になります。一番インパクトがあるのはデザインの変更です。例えば、メール形式をテキストからHTMLにする、とかですね。文字だけで写真や図が無い、文字サイズも色も同じ…。このような抑揚のないメールも、HTML形式にすれば、大事なところは太字にして色をつけるなどできますので、内容が伝わりやすくなり、クリック率は上がっていきます。
あとは、今一番ホットなクリック率の上げ方は、動画メールです。動画をメールに入れると強く興味付けできて良いですね。動画メールの作成方法ですが、動画ファイルをそのまま埋め込む方法は受信側が対応していないケースがまだ多いです。
そこで、静止画を何枚かまとめて動画のように見せるGIFという形式の画像を、HTML形式のメールに画像として差し込む形でメールを送る、という方法が一番簡単で効果が出やすい施策と感じています。
松永:動画を入れる、入れないでクリック率は大きく変わるんですか?
宮坂:そうですね。私はセミナーのご案内メールを週1回送っているのですが、セミナー資料のおいしい部分を2~3枚、スライドショーのようにしてメールに差し込んでみたところ、11月のセミナーではそれをしなかったときと比べて約5倍、わっと申し込みが来ました。
松永:おお、5倍!!!
宮坂:ただ、これはGIFだからというわけではないかもしれません。セミナーのスライドを事前に見たことによって「これを説明してくれるなら行きたい!」と思ってくださっている可能性もあります(笑)。
松永:(表示しながら)このような動画がメールに差し込まれるわけですよね。
宮坂:そうですね。メールを見た瞬間にこの動画が目に入るようにしていますね。
松永:宮坂さんから見て、ここのメール上手いな!みたいな企業、ありますか?
宮坂:BtoBですと、上手いと感じるメールはあまり受け取ったことがないですね。BtoCを参考に作るのが手っ取り早くて良いかと思います。入手もしやすいですし。
おすすめの1つめ、Appleのメルマガです。
ボタンの使い方、リンクの使い方が本当に上手いです。私はApple信者ではないのですが、メールが綺麗なので読んでいます(笑)。前に最新の機種の案内を受け取ったときは、最新機種のかっこいい本体画像のすぐ上に「購入する」というボタンがあり、「この画像見ただけでは購入はしないよ〜お高いんでしょう~」と思いつつ読み進めると、小さな青い文字で「料金を見る」といったリンクが入っており、ついクリックをしてしまうんです。心理状況を読まれているなと感じます(笑)。
松永:ですよね、今Apple:BtoC企業の話がでましたが、BtoBのマーケティングって、BtoCと比べると3年くらい遅れていると思っています。僕は、BtoBの仕事をしていますが、BtoCで起きているトレンドを追うようにしていますね。そうすると3年後、5年後くらいにBtoBでも来るという業界予想ができます。
Q.ITリテラシーが高くない業界、お客様に対して気を付けていることはありますか?
松永:このような質問がきていますが、小川さん、いかがでしょうか?
小川:相手のリテラシーに合わせることがまず一番ですね。こちらはなるべくカタカナは使わず、先方も会話を遮って質問が来ることもないので、「顧客管理」、「営業フォロー」という言葉に変えてお話しています。
松永:例えば「メールマーケティング」はどのように言い換えるのですか?
小川:「営業の手段」と言ったり、「案件獲得にはどのようなことをしていますか?」と聞いたりしますね。
松永:共通言語を合わせていく、ということなんですね。宮坂さん、他にもにもメールが上手なところありますか?
宮坂:2つ目は「スワローズクルー」というメルマガです。これは、東京ヤクルトスワローズのファンクラブ会員向けのメルマガなんです(笑)。会員向けのポイント交換商品をGIFアニメで紹介しており、私が登録している何球団かのメルマガの中では一番進化していますね。
一同:何球団かのメルマガ!(笑)
松永:もうそこが気になってしまって(笑)。詳しく教えていただけますか?(笑)
宮坂:私は阪神ファンなのですが、阪神タイガースとヤクルトスワローズと、DeNAベイスターズのメルマガの3つは見ています(笑)。残念ながら一番読みづらいのは、球団公式メルマガが未だにテキストの阪神です(笑)。オンラインショップの方は最近HTMLメールに切り替わったのでそろそろHTML化するかもですが、長~いテキストメールは脳への負担が大きいですね(笑)。
松永:昔は楽天市場などで注文した際に送られてくるメールもテキストメールが主流で、ものすごく長かったですよね。最近は変わってきており、小川さんがおっしゃったように右脳に語り掛けるメールが増えてきているように感じます。まさにテキストより静止画、静止画より動画ですよね。
Q.各社様で一番お金が掛かっているツールを教えてください。
久野:『hubSpot』ですね。色んなサービスがあり、マーケティングに特化したもの、セールスに特化したもの、カスタマーサクセスにフォーカスしたものなど、色々あります。弊社はマーケティングとセールスに特化したものを入れていますね。
松永:ちなみにおいくらくらいですか?
久野:月35~50万くらいですね。リストの数にもよります。
松永:最初は無料ですが、さまざまな機能を付けていくと値段が上がっていきますよね。ラクスさんはいかがでしょうか?
宮坂:自社サービスを使っているため、費用感があまりわからないものが多いんですよね…。おそらく、一番高いのは『FORCAS』、自社含めで考えると『楽楽販売』ですかね(笑)。
一同:自社サービスなんですね!(爆笑)
宮坂:自社サービスなのですが、使用範囲が非常に広く、データ容量で課金されるのでかなり高くなっていると思います(笑)。本来は、月額5万円から、社内のちょっとした業務をシステム化できるという便利なサービスなのですが、それを社内の機関システムとして利用してしまっているので、請求すると3桁万相当になると聞いたことがあります。
全社の顧客情報、案件の進行状況、請求情報、見積書の作成・承認、稟議申請・承認もやっています(笑)。社内機のメンテナンスの日は、何もできなくなるので全社員、早く帰りますね(笑)。
野中:うちも『HubSpot』が一番高くて、月40~50万くらい掛かっていますね。でもそれ以外はそこまで掛かっていないです。
Q.『配配メール』はおいくらですか?
宮坂:ご質問ありがとうございます。お手元にチラシもありますのでご覧いただきたいのですが、ミニマムで月額1万円からです。ここに出ている無料ツール以外ですと、爆安のツールだと思います。その割に導入前から営業がしっかり付いて、導入後のサポートに自信があるというサービスなので、正直カツカツな感じは強いです。新プランの『配配メールBridge』は、通常のメール配信サービス『配配メール』と、『Hubspot』のようなマーケティングオートメーションツールの真ん中に位置する機能で、月額5万円からです。
松永:料金表を見てトリガーをする、通知を出す、みたいなことはラクスさんの『配配メールBridge』でできるんですよね?
宮坂:そうですね。『配配メールBridge』なら、指定のWEBサイトページの訪問時に指定のご担当者さまに通知を出したり、メールを送って、開封・クリックの効果測定をしたり、ABテスト、簡易的な顧客の検討ステータス管理も可能です。まだマーケティングオートメーションツールを入れるほどではないな…というお客様におすすめですね。
松永:ありがとうございます。これまで出た質問すべての解決策として、ちょうど良い感じがしますね!(笑)。
宮坂:そうですね。お客様からも「ちょうど良いね」と言っていただくことが多く、製品企画に感謝です(笑)。
松永:じゃあいい感じに締められた気がするので、この続きは懇親会で飲みながら、お話していきましょう!(一同笑)